★ 各種講演会・自由学校「講座」

 有識者、ジャーナリスト、学者、NPOなどからの講演・講座を行います。

【10月市民講演会】米朝首脳会談と朝鮮半島情勢。そして日本の課題

 ―10.14 平井久志(ひらいひさし)さん(共同通信客員論説委員)―

 平井久志(共同通信)さんは過去12年にわたり朝鮮半島情勢に関わり、2002年ののハンミンちゃん事件の特ダネ報道にも関与してきただけに、現地の内情について事細かで参加者を魅了した。以下要約。

T.金正恩氏の独裁デビュー
Photo  2002年に、北朝鮮の脱北者「ハンミンちゃん一家」が日本の総領事館に駆け込む「瀋陽事件」が起きた。あの映像は、私の特ダネだが、あれで中国政府の怒りを買って北京を追い出されてしまった。その後、帰国して驚いたのは、北朝鮮に対するバッシング。拉致は許されないが、批判するならもう少し事実に基づいて言うべきだ。2011年12月、金正日(父)の棺を8人の中枢人物が担いだが、その後引退したり粛清したりして、金正恩の独裁体制が継承された。
 一方で、粛清も続けた。粛清は、社会主義国では、自分の一元的な権利体制を築くためにはあり得ることだ。ただし、異母兄弟であり、すでに権力の外にいた金正男の暗殺は必要なかったと思う。
 そして党と軍の「二元支配」から、党を中心とした国家に変わり、今年から「対話路線」に変わった。金正恩は、今後も独裁者として存在したいと思っており、アメリカの脅威によって独裁体制が崩壊されないよう模索していくだろう。

U.非核化の意味は?韓国との友好へ
 4月27日、板門店で、文在寅と金正恩の南北首脳会談が開かれた。南北首脳会談は3回目だが、文在寅にとっては、国連の北への経済制裁もあり、非常に難しい制約の中での首脳会談だったと思う。韓国では、当初、金正恩のイメージは悪かったが、板門店で両首脳が軍事境界線を乗り越えたときのやり取りなどがあり、好感度は上がっている。また、金正恩が、文在寅の話に耳を傾けている姿も好感が持たれる要因だろう。
 中でも「非核化」に対する認識を持つべきだ。韓国には、90年代初頭まで米軍の核兵器がたくさんあった。今はないが、北朝鮮は未だに疑っている。アメリカは、グアムに核兵器を置いていて、2時間もあれば朝鮮半島に移動できる。
 だから、「朝鮮の非核化」が、@グアムにある核兵器で朝鮮半島を攻撃することA在日米軍まで含んでいるB朝鮮半島の核抑止力をなくす――ことのいずれなのかは、分からない。北朝鮮と国際社会との間で大きな違いがあるのではないか。
 過去、南北朝鮮は、今年中には朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換する過程で終戦宣言をしようとも合意した。その後、米朝首脳会談で、@新たな米朝関係と確立することA恒久的で平和体制に努力すること――これらは北朝鮮側の主張、B非核化C朝鮮戦争の際の米兵の遺骨の収集と返還――について合意がされた。

V.経済状況の改善経済の改革
 北朝鮮では、社会主義体制が続いているし、経済制裁が行われているにもかかわらず、ここ数年プラス成長にある。これは、市場経済の流れを組み入れて、例えば農業で、「担当責任制」という大きな変化が生まれてきた。農民は、ノルマ以上の生産があると収穫高の3割を市場で売買できるのだ。これによって、農民の労働意欲が相当刺激されている。
 企業にも責任管理制のような制度、独立採算のようなやり方を導入している。北朝鮮では、資本家という意味の「金主(とんじゅ)」が流行り「赤い資本家」が生まれているのだ。
 ただ、極端な二重経済で、普通の公務員と独立採算をめざす企業で働く労働者との格差が拡大している。
 北朝鮮は、アンバランスな経済発展をしていて、市場経済と社会主義の配給経済が混在しているが市場経済の要素が、少しずつ広がってきている。
 現在の、北朝鮮のGDPは香川県の県内総生産(3兆5000億円)と、ほとんど変わらない。一方で、北朝鮮に対する経済制裁の対象は、輸出入の9割を占める対中国との貿易である。この経済制裁が長期化すれば、何とかプラス成長を続けていても、経済的に厳しくなるし、3〜4年続けば、そうとう深刻な状況になるのではないかと思われる。

W.後戻りさせない核、ミサイルの廃棄へ
Photo  アメリカは、北朝鮮にCVID(完全でかつ検証可能で非可逆的な核廃棄)を要求している。一方、北朝鮮は、CVIG(完全かつ検証可能な非可逆的な体制保障)を要求している。北朝鮮はウランの産出国で核保有国でり、この開発に関わった科学者等は1万人は超えるので、その処遇が難しい。追放するようなことをしたら、彼らは中東に逃げ込み、アメリカが最も恐れている核の拡散になってしまう。私は、CVIDは難しいと思う。
 私は、@非核化は、北朝鮮が「自分たちが選択した」と言っているA当面、経済制裁は緩和されないB金正恩は独裁体制を維持したいと思っているが、彼と交渉するような相手はトランプしかいない――ことから、北朝鮮の「非核化」は後戻りできない、希望が持てると思っている。
 金正恩にとって、トランプと文在寅は理想のコンビだが、このコンビは、トランプの在任期間である2年半の期限付きであり、北朝鮮は焦っていると思う。
 実は、2000年のアメリカ大統領選挙でゴアが勝った場合、クリントンが、同年12月に平壌に行って、国交樹立の約束をすることになっていた。ところがブッシュが勝ったため、クリントンは、金正日にアメリカで協議しようと持ち掛けた。金正日には、その決断ができなかった。

W.日本の課題(拉致問題の解決へ)
 拉致問題は、第1次安倍政権時に、@拉致問題は日本の最重要問題であるA拉致問題の解決なくして日朝国交正常化は行わないB拉致被害者は全員生きて勝ち取ることが拉致問題の解決である――という三原則が示された。「拉致の解決なくして国交正常化はない」、というが、拉致を全ての日朝交渉の入り口に置くことが果たして正しいのか。
 ストックホルム合意では、北朝鮮が「解決済み」と言っていた拉致問題を「再調査する」ことが盛り込まれた。すでに調査は終わり報告書ができている。ただし、ストックホルム合意の限界は「拉致問題の解決」について定義されていないことである。
 安倍首相は、「首脳会談をやる以上、拉致問題を解決し得るものにしたい」と言っているが、再調査報告書の扱いが、安倍首相に問われるだろう。
 1990年代初めに、南北は、朝鮮半島非核化共同協定という素晴らしい合意をしている。
 北朝鮮は、南から攻められたら困るので南北基本合意書を作った。しかも当時アメリカはブッシュ(父)政権で、韓国が非核化されるという状況が生まれた。アメリカが国外の隔壁を撤去する東アジアにとって画期的な時代だった。そして南北の国連共同加盟(1991年)が実現した。
 金正恩がトランプに、「非核化を実現して中国やベトナムよりももっと高度経済を果たしたい」、と言ったそうだが、私は本気だと思う。時間は掛かると思うが、彼らの体制を生き残らせ、非核化を現実化していくことはできる。北東アジアの非核化を全体として実現していくことが広島、長崎を経験した私たちの義務ではないかと思う。



【12月市民講演会】どっちが本物のメディアか!
           ― 森友学園問題は終わっていない ―

 ―12.22 相澤冬樹(あいざわふゆき)さん
                     (大阪日日新聞記者・元NHK記者)―

 今年一年「モリカケ問題」「忖度」として行政の歪みを指摘されてきた森友問題を現場から追及してきたNHK記者・相澤冬樹さんをゲストに迎え市民講演会を行った。会場は満席の状態で、この問題の関心の高さをうかがわせた。
 相澤さんはこの問題がさも被疑者となっている籠池さんが核心のように報道されているが、実は本心は「国」と「大阪府」にあることを指摘し、この問題の根の深さを報告された。(森友学園に関する要旨)

森友事件の本質は「国」と「大阪府」だ
Photo  森友学園問題では、森友学園ではなく、国と大阪府が「とんでもないこと」をやらかした。これがこの本質だ。
 この事件の舞台は森友学園で主人公は籠池園長だ。運営している幼稚園で、子供たちに教育勅語を歌わせたりしていたのだが、森友学園は、小学校は運営していないので、子供たちは、他の学校に行ってしまう。籠池園長は「教育勅語をやっと覚えたのに」と非常に残念で、小学校を作りたかった。それで大阪府に小学校の新設を申請した。
 ところが、大阪府の私学審議会で、森友学園の財政基盤が問題になった。森友学園は、財源はなく、小学校の土地、教員も確保しておらず、認可が保留された。ところがその時に、大阪府の私学審議会の事務方が、「開校予定が決まっていて認可しないと間に合わない」と言い、一か月後の臨時審議会で、条件付きで認可された。なぜか、役人がそこまでして、認可させた。

近畿財務局の土地取引の事実。事実上背任ではないか
 次は国側の問題。森友学園は財源がないので、学園側は国有地を借りるつもりだったのだが、紆余曲折があって、9億円の土地を1億円で買った。その理由は、ゴミの撤去費用。ところが、籠池さんは、ゴミを撤去していないと認めている。でも小学校は建っている。
 国の役人が行政のルールを捻じ曲げて土地を安く売ったのだ。
 一方で、籠池さんが強引に値引きを迫ったというが、近畿財務局は、最初に鑑定価格を出したら最後、そこからはピタ一門、一切交渉の余地はないという。
 ところが、過あの土地を過去、大阪音楽大学が買い取りを希望していて、5億円を提示したのに売らなかった場所。近畿財務局はその土地を、ゴミがあるからと1億円で売ったのである。

問題発覚後、手のひらを反す関係者
Photo  大阪音楽大学の時はなかったゴミの理屈が、森友学園の場合、急に出てきた。実は、近畿財務局は、森友学園側の「上限」額を聞き出している。この上限が、「1億6000万円」なのに、納めたのは1億3400万円。
 そもそも国有地の分割払いは認められていないのに、1-年の分割払いの提案まであった。どこまで便宜をはかっているのか。
 もともと賃貸では年2700万円。でも1億3400万円を10年の分割払いだと、1年間1340万円で負担は半額である。鴨池さんが言った「神風」とは、このことだったのである。
 普通こういう時には、贈収賄が絡むのだが、ここでは絡んでいない。また、大阪地検特捜部も動いていない。つまり、安倍首相は、籠池さんの教育方針を素晴らしといっており、あの教育を小学校でやらせたかった。そして、あの学校に続く学校も作っていく。つまり「パイロット版」にしたかったのではないか。
 ところが、問題が発覚した途端に、安倍首相も昭恵夫人も手のひらを反したように、森友学園と籠池理事長を切り捨ててしまった。そして、小学校を諦めたのだろう。この真相究明はこれからの課題だ。



【2月市民講演会】「あの松本サリン事件から考える」
     ・被害者でありながら犯人≠ニされてしまった河野夫妻
     ・オウム真理教犯人13人を死刑執行。あの真相は。

Photo 【日時】
 2019年2月3日(日)14時〜16時30分
【場所】
 金沢市・近江町交流プラザ4階会議室
   (金沢市青草町88番地)
【ゲスト】
 河野義行(こうのよしゆき)さん
【事前のお申し込み】
 不要、どなたでも御自由に参加下さい。
【参加費】
 1,000円