★ 2012年度 トピックス一覧

講演内容等をご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
【2012年 8月15日(水)】理事長挨拶
【2012年10月 6日(土)】高野孟さん講演会
【2012年10月27日(土)】福元満治さん講演会
【2012年11月24日(土)】山田健太さん講演会
【2012年12月 2日(日)】中村仁一さん講演会
【2012年12月22日(土)】孫崎享さん講演会
【2013年 1月17日(木)〜21日(月)】ペシャワール会現地写真展示会
【2013年 2月23日(土)】甲斐良治さん講演会
【2013年 3月24日(日)】田中優さん講演会

★ 2013年度 トピックス一覧

講演内容等をご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
【2013年 5月18日(土)】山花郁夫さん講演会
【2013年 5月18日(土)】「NPO法人未来塾・大人の学び」社員総会
【2013年 7月13日(土)】上野千鶴子さん講演会
【2013年 9月 7日(土)】屋良朝博さん講演会
【2013年11月 9日(土)】大瀧雅之さん講演会
【2014年 1月19日(日)】幕内秀夫さん講演会
【2014年 3月30日(日)】中島岳志さん講演会

★ 2014年度 トピックス一覧

講演内容等をご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
【2014年 5月25日(日)】劉園英さん講演会(前期)
【2014年 6月 8日(日)】金平茂紀さん講演会
【2014年 7月27日(日)】劉園英さん講演会(後期)
【2014年 9月 7日(日)】柳澤協二さん講演会
【2014年11月23日(日)】高野誠鮮さん講演会
【2015年 1月25日(日)】保阪正康さん講演会
【2015年 3月29日(日)】高野孟さん講演会

★ 2015年度 トピックス一覧

講演内容等をご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
【2015年 5月17日(日)】第3回社員総会・松田恒春さん特別講演
【2015年 8月16日(日)】浜矩子さん講演会
【2015年 9月27日(日)】樋口陽一さん講演会
【2015年11月 1日(日)〜 2日(月)】沖縄映像祭in KANAZAWA報告
【2015年12月13日(日)】篠原孝さん講演会
【2016年 3月 6日(日)】早野透さん講演会

★ 2016年度 トピックス一覧

講演内容等をご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
【2016年 5月21日(土)】秋山豊寛さん講演会
【2016年 6月18日(土)】上映会「ザ・思いやり」
【2016年 7月3日(日)・4日(月)】上映会「不思議なクニの憲法」
【2016年 9月17日(土)】猿田沙世さん講演会
【2016年11月23日(水)】高遠菜穂子さん講演会
【2017年 2月 5日(日)】水野和夫さん講演会

★ 2017年度 トピックス一覧

講演内容等をご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
【2017年 5月14日(日)】岡田充さん講演会
【2017年 7月15日(土)】伊勢ア賢治さん講演会
【2017年10月 8日(日)】松尾匡さん講演会
【2018年 1月27日(土)】中北浩爾さん講演会

                  ◇

【理事長挨拶】「真実を曖昧にしない」をモットーに

 NPO法人「未来塾・大人の学び」が石川県の認証を受け、設立いたしました。
 会員の皆様には「未来塾・大人の学び」の趣旨、自然と共生を目指す人づくりに賛同いただき、こころから御礼を申し上げます。

 世界、日本、地域に多くの問題が複合的に顕在・潜在化しています。
 特に"3.11"は私たちの心を大きく揺さぶり、衝撃を突きつけました。
 あらゆることの情報が氾濫し「真実は何か」「本当に正しいことは何か」が極めて曖昧になっています。
 もう「見ないふり」「聞かないふり」「知らないふり」を続けることができなくなりました。

 次代を託す若い人たちはもとより、全ての世代の一人ひとりが、自らを問い直すとき「今、変わろうとしている自分を見つける」ことができると考えます。
 「未来塾・大人の学び」は「真実を曖昧にしない」をモットーにいろいろな問題に真正面から向き合い、いっしょに考えあう場を提供いたします。
 会員の皆様からご意見をいただき「テーマ」「提起者(講師)」「講演会・講座」を時宜にあわせ計画いたします。

 全くゼロからのスタートですが、一つひとつを大切に積み重ねて参ります。
Photo  会員の皆様のご協力をいただき、市民の方々から認めてもらえる「未来塾・大人の学び」に育て上げるようお世話をさせていただきます。

                 理事長  西尾清治

トピックス一覧に戻る


【10月講演会】「政権交代が何故うまくいかないか」

― 10.6高野孟講演会に100余名が参加 ―
『100年目の制度設計と価値変換へ』
          〜 市民目線から政治をとらえる 〜
 10月6日、NPO法人「未来塾・大人の学び」の初めての講演会を金沢市・石川県地場産業振興センターで開いた。講演に先立ちあいさつに立った西尾理事長は100余名の参加者を前に「情報が氾濫しているが会員、市民の皆さんはこの場を通して真実は何かをつかみ取ってほしい」と訴えた。

 高野孟氏は「政権交代は何故うまくいかないのか」と題して約2時間、政局、民主党が何故求められたか、原発事故の神髄は何か、について提起した。
Photo ◆既得権益集団との対決が鍵
 政局の焦点にある解散は明年春になるのではないか、との見通しを示しつつ各政党の概況をのべ、中でも民主党はこのままでは大敗で、もし細野氏が代表だったらまだ「負けを小さく」押しとどめることができるのではないかと、野田政権が民主党らしさを失っていると指摘した。
 また、民主党政権が何故うまくいかないかについて高野氏は、1995年頃のリベラル政党の必要性を論議した「たたき台」を示し、明治以降120年間にわたる発展途上国型の経済政策、それを押し進めてきた官僚主導体制の打破が目的であったこと。鳩山元首相が「無血の政治維新」と言ったがまさにそれが原点で「100年制度設計」に基づき国の在り方を作り直すはずだったこと。
 しかし象徴的な米軍沖縄基地の「最低でも県外」をはじめ多くの政策課題は官僚、政治家、経済団体ら「既得権益集団」によりことごとく激しい抵抗にあい進まなかったことをあげた。また民主党政権発足早々にリーマンショックで大幅な債務超過、そして3.11大震災と経済環境が最悪だったことも指摘した。

Photo ◆何のための政権交代かを見極めよ
 しかし、民主党政権になって「何が前進して、何が後退したのか」をチェックする必要があるとして、高野氏は@予算の省庁間をこえた予算の組み替えが実行された A高校無償化、診療報酬のアップなどで医療崩壊の歯止め、医療・介護で大幅な雇用アップを図ったこと B公共事業は2年間で30%ダウンしたが、額よりも内容により雇用への影響を出さなかったこと……など捉えるべきだ、と強調した。政権交代は何のためだったのか、どこへ進むのか、そこに至るプロセスを示すことが必要だと主張した。

◆福島第一原発4号炉が危機一髪
 原発事故問題については、この間ほとんど報道されていない課題として、「福島第一原発4号機」の現況について詳細な資料にもとづき説明し、全く収束に至らずここに最大の問題がある、と強調した。
Photo  震災当時この4号炉は停止中で貯蔵プールに使用済み核燃料が大量にあり、アメリカのNRCは冷却停止でプール水が蒸発し原発運転の10〜15年分の核燃料が大気中で燃えるという世にも恐ろしい事態を懸念した。しかし、震災発生4日前に水を抜き取る予定が「工事の遅れ」で水があったこと、シールの減圧で「水がゲートから流入した」ことで最悪の事態は免れた。まさに「神風が吹いた」「まぐれそのもの」で首都圏数千万人の避難を免れた、との説明がされた。しかし、事態はこの核燃料を取り出す遠隔クレーンの設置、100トンもの核燃料棒の取り出しだけで今後数10年を要すると推察されており、事態は少しも変わっていないと述べられ、参加者は驚愕の目線で聞き入った。

 参加者からは@尖閣、竹島をめぐる領土問題と両国との付き合い方 A地域主権というがそういう人材はいるか B日本の主権を守るためにアメリカとのかかわり方を研究すべき、C自民党をどうみるか、民主党の再生は―などの質問があった。(講演会要旨は「12月会報」に掲載します)

トピックス一覧に戻る


【10月講演会】「医者、用水路を拓く − アフガンの大地から」

― 10.27福元満治講演会(ペシャワール会事務局長) ―
「異文化の世界で、無欲の30年間の土着の支援」
          〜 アフガンの地における‥人、水、命 〜
 冒頭、NHKで2008年に放映されたアフガニスタン現地での活動の模様を鑑賞した後、福元氏が約90分にわたって、何故医療活動から井戸・用水路作りに関わったか、イスラムの文化と異文化を尊重することの必要性、、土木工事の近代化と伝統工法の調和など、興味が尽きない内容に60名余の参加者に感銘を与えた。以下発言要旨。
Photo 1.何故、医者が土木工事をするのか
 ペシャワール会(NGO、本部福岡市、1983年結成、会員15000人)は中村哲医師を現地代表として1984年からパキスタンペシャワールで活動を開始した。柱はハンセン病診療だが、アフガン難民や山岳の僻地診療など10ヶ所の診療所を運営し、28年間延べ診療者は200万人に及ぶ。
 アフガニスタンは2001年以来、米軍の空爆下にある。それ以前1979年から1989年までソ連軍の侵攻で200万人の死者と600万人の難民を出し、イスラム諸党派による内戦を含めると30年以上にわたって戦乱が続いている。
 アフガニスタンは荒廃した沙漠と山の国で、狂信的で排他的な国民のイメージが横行しているが、2000年に大旱魃が起きるまでは穀物自給率93%の農業国だった。人口2000万人で内8割が農民、1割が放牧でタリバンや軍閥といってもそのベースは農民である。
 異変が起きたのは2000年夏、診療所に栄養失調の子供が下痢で次々運ばれてきた。理由は井戸が枯れ生活水が不足し、川床の泥水を飲んだことだった。中村医師は「とにかく生きてくれ病気は後で治すから」と診療所の近辺に井戸を掘り始めた。

Photo 2.清潔な水が病気予防
 WHOが「このまま放置すれば100万人が餓死する」と警告を発した。しかしメディアはテロ以外に関心を示さず結局井戸掘りに専念せざるを得なかった。当初はボーリング業者に依頼することを考えたが、これでは費用がかかり、水位が下がれば貧しい農民には手に負えなくなることから、伝統的な手掘りで行い、作業日当(1日240円)のほか、自分たちでメンテナンスが出来る方策を選んだ。2003年までに1600本の井戸、径5mの灌漑用井戸のほかカレーズ(地下水路)も30箇所修復した。
 これにより子供たちの腸管感染症や皮膚病は激減した。水で病気を治すことはできないが清潔な水が感染の悪循環を断ち、病気の予防になったのである。

3.100の診療所より1本の用水路
Photo  井戸は飲料水の確保が目的である。飲料水がなければ生きていけないが、それだけでは無理だ。戦乱と旱魃の中で復興するには用水路が必要だ。2003年3月19日(翌日から米軍のイラク侵攻が始まる)農業用水路の建設に着手した。中村医師自らがユンボのレバーを握ったが、その治水技術は日本の伝統工法を参考にした。大河クナールは暴れ川でコンクリートと鉄筋の近代工法だと氾濫後、土地の人はその修復に財政と技術が伴わない。そのため採用したのは、江戸時代に完成した「蛇籠工」(じゃかご)と「柳枝工」(りゅうし)による護岸である。これは鉄線で編んだ1m×2m×80pほどの鉄線の籠の中に石を積み重ねたもので、これを用水の両岸に積み上げその上に土嚢を積んで柳を挿す。柳の根は水を求めて石の間にネット状に入り絡みつく。骨董的工法だが環境問題や生物多様性が取りざたされる現状では最善の工法である。ほかに石出し水制に霞提、沈砂池などさまざまな伝統工法を駆使している。植樹した樹木は柳、桑、ユーカリ、オリーブなど60万本を超えた。

4.異文化の尊重
 完工した主幹水路だけで25.5キロ、張り巡らされた給水路、排水路を入れると100キロにもなる。復興した田畑は3,000ha、15万人の暮らしが成り立つ。工事に連日500人の人が従事したので7年間で70万人の雇用を確保したことになる。もし用水路工事が無ければ米軍の傭兵になるしかなかった農民である。総工費は12億円、ペシャワール会員と支援者の寄付による。
 日本人を含めた先進国の人は、途上国に対して無意識のうちに優越感を持ち、近代的教育、女性の地位向上、民主主義制度など先進国の青写真を持ち込もうとし、それに抵抗すれば軍事行動も辞さない。私たちはその土地に適した技術の運用の前に、相手の文化を理解、尊重することが重要である。それがなければ善意であっても受け入れられることは無い。(講演会要旨は「12月会報」に掲載します)

※その他
 展示会「ペシャワール会現地報告写真展人・水・命=vの開催
 2013年1月17日〜21日に実施、石川県庁舎19階、入場無料

トピックス一覧に戻る


【11月講演会】「市民メディアを取り戻そう〜巨大メディアの病〜」

― 11.24山田健太(専修大学文学部教授)講演 ―
『伝統メディアに期待されていたジャーナリズム性とは何か』

 メディアに対する歴史や現状、課題について@壊れる伝統メディアA暴走するネットメディアB縮小する表現の自由C市民のための「メディア」を取り戻すために、の構成で講師のテンポのいい提起と解説(実際の報道内容や新聞を紹介)で、意見・質問も多くだされ予定時間を大幅にオーバーしての活発な講演会となった。以下、講演の要旨。

1.日本は稀有なマスメディア社会
 冒頭、「日本は世界的にみて稀有なマスメディア社会」だ、との説明があった。
Photo  新聞の発行部数はもとより高普及率、内容も世界情勢から芸能ニュースまで硬軟おりまぜており、テレビも日本中どこでも(NHKのほか)無料で、複数のチャンネルが見れること、書籍・雑誌も全国津々浦々でジャンルも広いのは日本だけだ。また「表現の自由」については一切の条件を付加することなく保障している。欧米では厳格な法規定(例、子供のポルノ禁止など)を定め憲法裁判所がチェックしている国とは様相を異にしている。日本社会の表現の自由は「曖昧さ」が特徴でそれをめぐる絶妙なバランスで、ある意味理に適ったありようだ。

2.伝統メディアが有する構造的な課題
 マスメディアの状況は戦争による言論統制に対する産物として戦後六〇年余法もしくは社会的制度として、マスメディアに役割と条件を与えてきた。「公共」であるが故の特恵を「特権」と勘違いし、優遇的な措置を守ることを目的化している面がある。具体的には「政府発表を優位に置き、市民活動を劣位におく姿勢」「政府広報機関化している」「悪しき客観中立主義・主張しないメディア」を原発事故や沖縄オスプレイ反対の記事を例に示し、被災者や市民に寄り添う紙面姿勢が重要だと指摘した。

3.個人発信情報の影響と拡大
Photo  価値づけされないフラット化した情報や自分の興味のある分野の情報しか集めないプルメディア化など報道に限らず全ての発信情報に対しては送り手のジャーナリズム性や受け手との共同性がより一層求められる。インターネットなどではその特性から、プライバシーの侵害や基本的人権侵害、反社会的な行動多発しており、まだ社会的役割を担うには十分ではない。そんな意味では、既存メディア体制を崩壊させるよりも、もっと活用する道を考えるべきだ。その選択権、決定権を握っているのは国民だ、と述べた。

 その後@福島原発事故報道をめぐる事例と背景、A広告主と報道の差別化 B公権力とメディアのなれあい、Cメディアの世論操作など意見・質問がだされ有意義な議論が行われた。

トピックス一覧に戻る


【12月講演会】「大往生したけりゃ医療とかかわるな」

                   〜自然死のすすめ〜

― 12.2中村仁一(特別擁護老人ホーム付属医療医院院長)講演 ―
『生き物は繁殖を終えれば死ぬ。「還り」の生き方を学べ』
     中村節に笑いと安ど!魅了された2時間

 中村仁一さんを迎えた講演会は、中村さん自身が多くの患者を看取った豊富な経験に裏打ちされた、人間として「死に逝く」自然の過程の話に引き込まれ、 参加者は時には笑いあり、時には大きく首を振って「そうそう」とうなずき終始和やかな雰囲気だった。前半の講師の話に引き続き、後半は参加者からの意見・質問に答えるというやり方で、実例を盛り込んだわかりやすい説明に最後まで中村節に魅了された内容だった。講演要旨は以下のとおり。

1.医療に対する思い込み … 重大な「誤解」と「錯覚」
Photo  人はケガをしたり病気にかかったら直ぐ医者や病院に駆け込むが、そもそも本人に治せないものが他人の医者に治せるはずがない。ケガや病気を治す主役はあくまでも「本人の治癒力」だ、医療者はお助けマン、薬はお助け物資、器械はお助けマシーンだ。症状(発熱、咳、嘔吐、下痢など)には意味がある。治そうとする身体の反応だ。だから咳止め、熱を下げる薬などは邪道で過信しすぎる。また、ケガや病気の治療はやってみないと結果が分からないことがある。「老い」と「死」には無力だ。したがって「受け入れる」姿勢が必要だ。

2.「医療」と「介護」が穏やかな死≠フ邪魔をする
 本来、自然な死は穏やなものだ。「死に時」が近づいたら、脳内モルヒネの分泌で腹は減らない、喉も乾かない、意識が薄れ、心地よいまどろみの中でこの世からあの世への移行がある。ところが、「点滴注射」や「強制人工栄養」や「酸素吸入」などをするが、これは全く逆で邪魔そのものだ。
 「介護」もそうだ。死ぬ当日まで風呂につけたり、2時間毎の体位変換、無理に口に食べ物を入れたりしている。拷問に近いものだ。要は守るべき鉄則として、@「死」に行く自然の過程を邪魔しない A「死」に行く人間に無用な苦痛を与えないことが大切だ。

3.「老い」に拘らず寄り添う、「健康」に振り回されない
Photo  年寄りはどこか具合が悪いものだ。生活習慣病に完治はないし、ガンは細胞の老化そのものだ。近年ガン患者が増えた、というが寿命がのび長生きするようになったからだ。ガンは完全放置すれば痛まない。中途半端な手術や抗がん剤は厄介だ。完全な根絶やしなら別だが。年寄りには「健康圧力」や「若さ圧力」がかかり健康食品やグルサコミンなどで「若さ」や「健康」をとりもどそうとしているが無駄だ「若く」はならない。また「老い」を「病」にすり替えないことだ。ある意味「健診」や「人間ドック」は病人づくりともいえる。

4.「死」にはあらがわない、「死」を視野に
 「自分の死」を考えるのは「死に方」を考えるのではなくて、死ぬまでの「生き方」を変えようということだ。すなわち命の有限性を自覚することで、「今、こんな生き方をしているが、これでいいのか」とこれまでの生活の点検や生き方のチェックし、もし「いいとは言えない」なら軌道修正をし、目をつぶる瞬間「いろいろあったけれど、そう悪い人生でなかった」と思えることが大切だ。そのために@遺言をしたためる A「余命6か月」を想定し、したいことの優先順位を書き出す、など具体的な行動も必要だ。
 年寄りの最後の大事な役割は「老いる姿」「死にゆく姿」をあるがままに見せることだ。

トピックス一覧に戻る


【12月講演会】「不愉快な現実 〜中国の大国化、米国の戦略転換〜」

― 12.22孫崎享(元外務省国際情報局長、元駐イラン大使)講演 ―
 歴史の真実を受け止め、その上で未来のデザインを
   〜紛争回避には「棚上げ」が一番だった〜

 12月22日(土)孫崎享さんを講師に「不愉快な現実〜中国の大国化、米国の戦略転換」と題して講演が行われた。約1時間15分の講演の後、参加者から意見・質問を提出し、その回答を行う形でさらに詳細に講演が進められた。孫崎さんは国際・外交問題をめぐる各国の主張とその裏側にある思惑、日本政府は1945年依頼、常に米国の視線と思惑を背中に感じつつ従属してきた史実を語るとともに、国益、国防、平和についてどうあるべきかを提起した。講演要旨は以下のとおり。

1.真実が語られていない現実=原発、TPP、消費税、MDも
 孫崎さんは冒頭「今一番大事なことは真実が語られていないこと、明らかになっていないことだ」と語りはじめ、原発事故の際の諸外国の動きについて述べた。昨年の3.11震災直後、米国はじめ諸外国は在留外国人に対して、速やかに日本を離れろとの指示を出し特別便を飛ばし、大使館とその業務を西日本方面に移す避難をだした。これは政府のもつ資料(SPEED1)を素早く読み解き対応したものだ。この時政府は国民に対しても当該地域に対しても避難指示を出さなかったばかりかSPEED1の存在も示さなかった。
Photo  TPP問題もしかりだ。さも農産品輸入が課題であるかのように言っているが、最大の問題は医療保険だ。米国の高額医療、高額医薬品を日本の健康保険で補えと言っている。日本は安い薬しか扱っていないのは差別だ、ISD条項(※)で訴える。しかし受け入れれば医療制度が崩壊する。
 また国家予算は大きな借財状況で消費税を上げなければギリシャのように信用不安になると言ってるが、仮にそうだとしても1985年代の法人税、所得税率を下げたことが大きな要因であって、消費税をアップしたところでその減分は埋まらない。さらにMD(ミサイル防衛)についても、北朝鮮が米国に向けてミサイル発射したものを自衛隊が撃ち落とせ、と言っても技術的にとても撃ち落とせるものではない、と具体的例示と数字をあげて説明した。にもかかわらずMDをいうのは単なる気休めにしかならない、と述べた。
 そして重大なテーマがメディアを含めいかに「まやかし」と「ごまかし」になっているかを読み解き、正確に真実をつかむことが重要だ、と説いた。
(※)ISD条項……外資が損害を被ったとき相手国を提訴して膨大な賠償金請求ができる制度。外資が公正な競争を阻害されたかどうかが判断基準。

2.尖閣諸島「日本固有の島、領土問題なし」の政府の姿勢は間違い
 尖閣列島をはじめ領土問題について孫崎さんは、参加者に設問(3択)を投げかけながら史実の確認を求めていった。「ポツダム宣言(1945年)には何が書いてあったか?」「日本の主権は本州、北海道、四国、九州」のみで「その他は連合国の決定する小島」だったこと。「ソ連が何故終戦直後に参戦したか?」「北方領土は『日本固有』か?」、「サンフランシスコ平和条約(1951年)は何を決めたか?」、など事細かに明らかにしていった。参加者は領土問題を語るべき史実の認識があいまいだったことに気付き始め、またそういうことが教育として教えられなかったこと、さらに教科書にも掲載されていないことを聞かされ愕然としていた。
Photo  その上で尖閣列島の帰属について、政府は「日本固有の島、領土問題なし」というが、@歴史的にどちらが先に領有を主張したか(両者主張)A1895年尖閣諸島の日本併合をどうみるか(尖閣を台湾の一部とみるか、沖縄の一部とみるか)B第2次世界大戦後、尖閣は台湾の一部として扱われたか、沖縄の一部として扱われたか)が焦点だが、結局1972年日中国交回復の時には、難しいとして将来の「棚上げ」にした。その後、実態は日本が管轄し両国での領土問題は「白紙」であるにもかかわず、前石原都知事が引き金をひいてしまい、米国の右派がこれを利用した。
 日本に利があるにも関わらず結局係争あるいは紛争事案にしてしまった。また、野田政権も「国」の所有ではなく「日本財団や他の民間所有」にすればこんなに日中関係は険悪になっていなかった、と述べた。

3.領土問題は、いかに「紛争を避ける」かが最大のポイント
 参加者からは多くの意見・質問が出された。(主要なものを紹介)
Photo Q1.尖閣について中国の主張を認めるのか、紛争激化にならないか?
A1.我々の主張だけではなくて、相手の主張を知り、自分の言い分との間で各々がどれだけ客観的に言い分があるかを理解することが必要だ。「紛争を避ける」ことが最大の目標だ。その意味では「棚上げ」にしておくことは有益だった。
Q2.米国の思惑どおりでいいのか。
A2.戦後の特殊な事情はあったことが大きな要因ではあるが、それにしても米軍基地が世界全体の3分の1が日本それも沖縄に集中していること、2分の1の金を出しているのは異常だ。戦後、主要な政治家はいわゆる「従属派」「自立派」に分けられる。田中角栄氏は1972年の日中平和条約の締結を米国に先駆けて行ったことに対し、米国の怒りを買い、ロッキード事件を通して排除されたと見られる。一方、野田総理がオスプレイの沖縄配備で「米軍のすることに口をだせない」はまさに従属だ。
Q3.米国は東アジアの安定のために何をしたのか。
A3.米国は財政的にこれ以上もたない。軍事費も増やせない。そのため対中国の軍事面を日本、韓国、ベトナム、フィリピンに持たせようとしている。安部総裁が来年の「竹島の日」の政府式典を中止したのは、「日韓は仲良くしろ」の米国の意向だ。
Q4.中国は内乱に向かうのか?北朝鮮への影響力は?
A4.「格差問題」が大きい。暴動が起きないよう中国政府はピリピリしている。しかしウイグル自治区やチベット問題が仮に動いても沿岸部の北京、南京、上海、広州、香港は微動だにしない限り体制に影響はない。中国にとって北朝鮮は確保しておきたい地域だ。仮に北が韓国化すると事実上米国と国境を接することになり、中国としては避けたい。
Q5.米国と中国の確執はどうなるか。
A5.多少の確執はあっても戦争、紛争はないだろう。中国の新指導者の「周近平」主席の一人娘はアメリカのハーバード大学の学生だ。このメッセージは「対立しない」と読むべきだろう。

トピックス一覧に戻る


【1月展示会】ペシャワール会 人・水・命≠フ現地写真展示会、終わる

   〜 参加者から中村医師らに『感嘆の声』 〜

 1月17日から開催されたペシャワール会の「現地写真展示会人・水・命」は21日終了しました。
 会場は石川県県庁19階の展望ロビーで見晴らしがいいため、その流れで写真展を見ていく親子連れやカップルのほか、昼休みには県庁職員の皆さんも寄っていくなど、初の金沢での展示会は多くの皆さんに知っていただくいい機会となった。

Photo わざわざ富山からも参加
 今回の写真展は、当法人とペシャワール会の共催で開催したもので、総数122点の写真は29年間の現地活動(医療、井戸掘り、用水作り、農業、物資配給など)の全てをカラー写真でそれも開墾前とその後と言うように比較写真も多く、非常にわかりやすい内容だった。
Photo  来観者は280名余にのぼり、わざわざ富山県から「楽しみにしていたの」と語る女性3人組や、「感動した。この写真をどうしてもほしい」と云われる方、「慈善の対象ではない、私たちと同じ生活をしている」の言葉にハッとさせられたと言う女性、「中村先生は神をも超える行動だ」「真の人間の行動が生き生きと実現されている」と語る人など、多くの感嘆の声が寄せられた。

スタッフにも労いの言葉が
Photo  地元紙や朝日新聞などメディアにも報道され、ペシャワール会の活動を初めて知った人はもとより「中村さんの名前は知ってはいたが」「以前テレビでちょっと見たが」という人、さらに会員だという人も一様に、写真展を開いたことに対して「ありがとう」「こんなにすごい活動とは思わなかった」と労いと感謝の言葉をいただいた。その言葉がスタッフのとって最高の贈り物であり、励みになりました。

トピックス一覧に戻る


【2月講演会】「21世紀の農と食、農の底力」

― 2.23甲斐良治(農文協・編集局次長)講演 ―
 「農」の再生は直売所の地域内需創造から
   〜「ないものねだり」から「あるもの探し」に〜

 甲斐良治(農山漁村文化協会)さんを迎えての講演会「21世紀の農と食」は、農業や林業をめぐる地域の新たな動きの紹介に驚かされると共に、農業はプロ化専業化した自由競争にはなじまない。むしろ地域・集落と共に存在していくものであることを実例をあげて訴えられた。講演要旨は以下のとおり。

1.自然と共に楽しく暮らそう・産直市場の全国展開
 冒頭、結城登美雄著『地元学からの出発』の「いたずらに格差を嘆き“ないものねだり”より、この土地を楽しく生きるための“あるもの探し”を」の一文を紹介し、いくつかの産直の実例をあげた。
Photo  長野県伊那市の産直市場グリーンフォームでは、何が商品か備品かわからないくらい雑然と置かれた野菜や商品、誰でも商品の生産者(提供者)になれる、規則がないえこひいきしない、との運営状況の画像に観客は目が点になり、時には笑いが飛び交った。そこにはJA等プロのための直売所ではなく、誰でも何を持ち込んでも構わないフリーな販売の姿を見せている
 林業では高知県の「林地残材収集運搬システム」が紹介された。山林所有者の多くが自伐を切り捨ててきたが、林地残材を蒔とパルプ材として提供するために、軽トラとチェーンソーがあればできると、もう一度地元の人たちが複業としてかかわり始めた。
 これらはいずれも地域の雇用をはじめ一定の収入も得られ、地域での就業構造すら新たに作り上げている。

2.外需依存の構造改革がこの国の後継者を不安定にした
 後半は会場の意見・質問に答える形で、TPP問題や農政の現状について次のように述べた。
Photo  全国の農産物直売所は1万7000箇所で、年間総販売金額は8800億円に迫ると言う。内閣府はTPPに参加すればGDPを10年で2.7兆円押し上げる経済効果があるという。仮にそうだとすれば1年で2700億円だ。このTPPによる外需増予測と片や伸び続ける直売所の売り上げはその性格が全く異なる。TPPによる外需増は地域を犠牲にするのに対し、直売所は地域を豊かにする。
 しかも「地域内需」を生み出すことによって地域の農業と暮らしを支え、地域の産業と雇用を生んでいる。そして農村の後継者を育てる拠点にもなっているのだ。
 このように1960〜80年代の「地域外需依存型」農業は、90年代に入って直売所農業など「地域内需創造型」に花開くようになってきている、と日本の農業は大きく変わってきているとの報告がされた。

トピックス一覧に戻る


【3月講演会】「原発に頼らない社会へ」

― 3.24田中優(「未来バンク事業組合」理事長)講演 ―
 まずは節電、省エネから。そして自然エネルギーの活用へ。

 田中優さんを迎えての講演会は「原発に頼らない社会へ」と題したメインテーマの下に「無理なくできるエネルギーシフト」のサブテーマで、電力問題の現状と将来のありかたを考察した熱気あふれる講演となった。
Photo  会場には幼児を連れた母親から青年、壮年、高齢の方々のほか、福島原発事故から金沢に避難してきた方など会場いっぱいで脱原発後の姿を模索する本テーマの関心の高さを示した。また田中さんの提起も非常にわかりやすく参加者を魅了し、また講演後の「意見・質問」では将来の電気としての水素電池や電気自動車、自然エネルギーなど専門性の高い意見も出され、終了時間を大幅にオーバーしての講演会となった。

電気消費量をいかに抑制・縮小するかが鍵
 まず田中さんは世の風潮として「原発を止めてどうするんだ。電力が足りない」の原発推進者の恫喝に対し、「自然エネルギーがある」と反対者は言うが、これは売り言葉に買い言葉のようなものだ。まず、メディアや電力会社の言い分を鵜呑みにせず、キチンと理解して批判的な本当の意味をつかむ「電力リテラシー」が必要だと述べた。
Photo  その上で、ドイツの例をあげて@電気消費を伸ばすことが経済成長につながるという神話はもう全く通用しない。A電気の問題は「発電量をどう追いつかせるか」の供給側の問題ではなく、まず「発電量をどう減らすか」の問題だ、と述べ、自然エネルギーを伸ばそうとする前に、電気消費量を抑制・縮小することが必要だ、と強調した。
 「節電」と言うとすぐ家庭のライフスタイルが問題にされるが、家庭用は全電力の4分の1に過ぎず、問題は事業所であって中でも、事務所、オフィスだ。エアコン、照明そしてパソコンにつながるコンセントが大きい、と指摘。照度基準は明るすぎで、諸外国の中では断トツの明るさだ。これらは事業用の電気料金の仕組みが家庭用とは逆で「使えば使うほど安くなる料金」システムがコスト意識を希薄にしている。これを家庭用と同じように増やせば高くなる制度を導入すれば節電になる、と述べた。
 また、「総括原価方式」が原発に有利な仕組みがビルトインされ「総括原価」が大きければ大きいほど利益を生むことになり、そのため発電所が電力消費を作りそれが先進国一高い電気料金として跳ね返ってきている、と指摘した。

太陽光発電と電気自動車の組み合わせを
 これからの電力については、@地熱発電 A風力発電 B海を使った発電 C水力発電D太陽光発電などについて、現状と課題、今後の見通しを説明した。
Photo  中でもアイスランドの地熱発電では日本製のものが使われており、世界の70%が日本製であること、しかし日本ではこの25年間地熱発電は0.2%であること。さらに風力では低周波問題やバードストライクが発生しているのに対し、外枠が付いた「風レンズ風車」というあたらしい風車ができ、さらに海上に設営しようというプランが持ち上がっているとの報告がされた。
 太陽光発電では田中さん自身のお宅の取り組みを詳細に話され、先行き電気自動車の発展動向とも合わせ、「地産地消」として太陽光発電は将来有望であるとの見識を示された。
 最後に「自然エネルギー」によって雇用は大幅に増やすことができる、『石油、石炭、天然ガス、ウラン』の4つの資源に2008年では24.5兆円も海外に支払っている。もしこの金が「自然エネルギー」として国内で循環していれば経済は活性化し雇用ははるかに大きくなる。さらに自然エネルギーになれば二酸化炭素の排出量は激減するだろう。そのためにも「もう1つの未来」を創造しよう、と述べて締めくくった。

トピックス一覧に戻る


【5月講演会】「今、なぜ憲法改正論議が」

― 5.18山花郁夫(前民主党衆議院議員)講演 ―
 「憲法」は国家権力を管理する手引書だ
     ― 96条改正は全く筋が通らない ―


 5月18日、第8回講演会は「今、なぜ憲法改正論議なのか……」と題して、前民主党衆議院議員の山花郁夫さんを招請して、金沢歌劇座で開かれた。
今回は連合石川の組合員が「憲法問題について」の学習と称して多数参加され会場は220名を超える人で溢れ、安部政権の憲法見直し問題に対する関心の高さを見せた。
Photo  山花さんは、議員になる前は司法関係の学校講師をしていたことや、元衆議院憲法調査会のメンバ―でもあったことから専門用語の解説をし、時には他党の議員との論議内容も紹介しながら現状の報告を進めた。また自民党の改正(案)については「立憲主義の観点とは全く逆だ。国民を縛るものだ」と批判した。
以下発言の要旨。

立憲主義とは何か(憲法の本質)
 憲法13条の冒頭「すべて国民は、個人として尊重される〜」とあるがこれは人権の本質を語っており、またこの条文一つで立憲主義の全てを語っている。
 つまり各人(国民)の尊厳を、国家、国民の代表である権力者たちが恣意的に侵してはならないものだ。故に自民党の改正(案)にある「わが国固有の価値観,歴史観がない」のはむしろ当然のことだ。この考え方は1789年のフランス人権宣言が規範となって多くの国の憲法が「人権宣言」と「統治機構」から成り立っている。
 したがって「憲法を守る」べきは国民ではなく為政者、権力者なのである。これを憲法99条で謳っている。

いくつかの論点
@首相公選制
 衆参ねじれに対する苛立ちから浮上している面があるが、公選である以上それは事実上首相という名の大統領制だ。現行は「天皇が総理大臣の任命」となっており天皇制に抵触することになる。
A96条
 国民投票は、数年のスパンの政権を選択するものではなく、今後の国の統治の機構、人権などについて主権者(国民)が判断するものだ。改正論者に「意思表示する機会がないのでハードルを下げる(3分の2から過半数)」との主張があるが論外だ。
B地方自治
 92条に「地方自治は(国)が法律で定める」とあり、、国による地方自治体への過剰介入を許している。地方の実情に合わせた地方行政を進めるために本旨を記載した内容の方が良い。

国民投票の必要性
 「六法」と言うが憲法と他の五法(民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)とは明確に違う。他の五法は国家の権威によって国民自らを縛る「自己統治」機能であり、法律は国民が選んだ政治家によってつくられる。しかし、憲法は実権力を持たない「主権者・国民」が権力者たちに権力を濫用させないよう管理すため、政治家たちの採決だけではなく、国民による直接投票が必要なのだ。現状、国民投票の手続きは「投票年齢」「公務員の運動制限」などまだ未解決の状態にある。

トピックス一覧に戻る


「NPO法人未来塾・大人の学び」社員総会

 新たに「講座」「屋外活動」も
     ― 5.18総会で次年度方針決める ―


 「NPO法人未来塾・大人の学び」の社員総会は、5月18日金沢・歌劇座で正会員106名中74名(うち表決委任者45名)が参加して開かれた。総会は議長に川島靖さんを選出し、「平成24年度事業報告と活動(収支)計算報告」「平成25年度事業計画(案)と活動(収支)計算(案)」などの提案と審議、そして役員選任が行われ、いずれも満場一致で決定された。
Photo  冒頭西尾理事長は「まだ発足10カ月余だが少しづつ関心を持っていただけるようになってきた。活動の基本はどれだけの人が集まってくれるか、そして財務の安定化だ。友人、知人に声をかけ広げてほしい、又、実務作業に参加して支えてほしい」と訴えた。

正会員、賛助会員が181名に
 24年度事業報告は正会員が106名、賛助会員は75名で、寄付行為は3団体、9個人におよぶことが報告され、NPO法人を支えている大きなパワーの源泉に謝意が述べられた。(別紙:平成24年度活動計算書)
 また、活動内容については「初年度を本格的な取り組みの準備期間」と位置づけてきたこととその成果について次のように報告された。
@「講演会」を事業の柱にすえ、8回(5月18日含む)の講演会には延べ600名の会員・市民の皆さんが参加された。また当初計画していた「講座」については当面講演会と一体化させ運営してきたこと。
A「会報」は会員への事業内容の報告とコミュニケーションにための情報誌として3号発行したこと。HPの利活用も順調で市民からの問いかけもあること。また「ブックレット」は講演内容そのものを文章化し、参加できなかった方や市民の皆様への頒布を目的に3号発行し好評を得ていること。
B「展示会」はペシャワール会と共催で開催。金沢で初のアフガニスタンの活動写真報告に市民、メディアの関心は高く富山、福井からも含め270名余の参加があったこと。
 これらの取り組みを通じて、NPO活動としての存在感を高めることができたが、「講座」「生涯教育学習」や「勤労者のキャリアアップにつながる活動」は調査段階の域を出ていないが、基本活動の「講演会」などを通じてこれら事業の具体化を図っていく、との報告がされた。

Photo





























新年度は活動の豊富化を
 平成25年度の方針は、本格的な活動をめざして、さらに幅広く、より広範な連帯が図れるよう他団体・NPOとの連携を深めていくことを柱にした。
 そのため、@安定収入を維持するため「会費収入」「寄付金収入」「事業収入」のバランスと収入増を取り組み A「地域」のテーマや在住の有識者との連携を強め、NPOの存在感を高めること。B活動の豊富化を図るため「事務局」体制を強めるとしている。
具体的には8点を提起した。
@「講演会」を引き続き事業の柱とし、隔月で開催する。
A「講座」と称する少人数の議論の場を設営する。
B「個別自学自習」として屋外活動や他グループとの連携を図る。
C社会的に啓発、喧伝するため「上映会」「展示会」を企画する。
D講演会の内容を引き続き「ブックレット」として発行する。
EHPは即応性を活かし、充実化する。
F「会報」は会員情報誌として充実する。
G勤労者のキャリアアップに繋がる業務の受託が可能となるよう調査、研究を深める。

新理事長に小澤さん
 役員は新理事長に小澤成一さんが選任された。また新たに理事として安江良博さんが就任した。役員は以下のとおり。
 理事長   小澤成一
        Photo
 理 事   西尾清治
 理 事   大形粂男
 理 事   大藪 進
 理 事   元 尚子
 理 事   安江良博
 監 事   大田文彰

トピックス一覧に戻る


【7月講演会】「おひとり様の心がまえ」

― 7.13上野千鶴子さん(社会学者、東京大学名誉教授)講演 ―
 おひとり様の心がまえ ― 家族持ちから人持ちへ
 人間はこわれもの、
       「さみしいときはさみしいと言える人」であれ!


 上野千鶴子さんによる「おひとり様の心構え − 家族持ちから人持ちへ −」の講演会は石川県地場産業振興センター・コンベンションホールに多くの女性の参加のもとで開催された。
 長生きすればするほど、みんな最後はひとりになる。結婚した人も結婚しなかった人も、最後はひとりになる。特に女性の場合は、平均寿命からすればほとんどの場合、夫の方が先に逝く、女性にとって“家族する”にふさわしいノウハウをつけるだけでなく“一人で暮らす”ためのノウハウを準備しておくことが必要だ、と述べた。
Photo  そのためには「一人はさみしい」とか「誰が老後の面倒をみるの?」ではなく、いっしょにいて楽しいのは誰?のように誰とどう付き合うかが大切だ、と実例やユーモアを交え最後まで参加者を魅了した。
以下発言の要旨。


おひとり様の老後は問題だらけ
 日本の総人口は減っていくトレンドで、なおかつ「おひとり様」の状態は確実に増える傾向だ。出生率の推移、単身世帯数・率の増加、有配偶者の変化、離婚率の推移、男女別未婚率の増加などどれをとってみても顕著に証明され、それはある意味「社会的孤立」を意味することになる。特に「おひとり様の老後は問題だらけ」と言える。
 例えば、女性単身高齢者は貧困(無年金、低年金)、男性単身高齢者は孤立(+貧困)、予想を超えた超高齢社会(ロールモデルがない)、子供への依存度が高い(にもかかわらず少子化、子世代の高齢化、家族の脆弱化、高齢逆縁等でセーフティネットなし)などが考えられる。
 さらにこれらを補完すべき介護保険、特養など施設の利活用、家族との関係などハード(居住)とソフト(介護)のパッケージをめぐる課題と選択が横たわっている。結局それらは、結婚の永続化・安定性の低下や少子化による親族ネットワークの縮小(オジオバ、兄弟、イトコ数の減少)などにより「家族、親族に代わる代替ネットワークが必要」になってきている。

誰とどう付き合うか
 会社がなくても怖くない、配偶者に死に別れてもさびしくない、配偶者に逃げられても生きていける、子離れしても大丈夫 ‥‥‥なぜなら私には仲間がいるから。という状態を構想すべきだ。
Photo  それはどういう「縁(えん)」によるものなのか、地縁、血縁、結縁、情縁、志縁、社縁などろいろある。女性の場合は親族に代わる女性仲間としての互助機能を持っている。これを「女縁」の結びつきとしていえば、「女縁の七戒」といって@夫の職業を言わない、聞かない A子供のことは言わない など、うまく付き合うための約束事が必要になる。一方、男による「男縁」の場合は利益誘導の「下心」があったり、利害がなくても覇権ゲームがあり、なかなか男同志うまくいかない。また男は@現実逃避や現状を否認し A見たくない、聞きたくない、考えたくない、の立場をとることがある。したがってそういう時には「助けて」というための作法と技法が必要なわけで、自分の弱さを認め、何に困っているかを言語化し、それを安心して話せる仲間を見つけることなどが求められる。

地域で居場所づくりを − 各地の活動 −
Photo  全国にはコミュニティカフェとして気楽に寄ることができる居場所づくりが進められている。そこでは資格を問わない、理由を問わない、口実がいらない、共にいる=共食共同体のようなものだ。地域の茶の間のようなところから「街中サロン」と言ったり、「みんなの広場」であったり、実家に帰りゆったりするイメージで「うちの実家」という名称箇所もあり、おひとり様の安心して過ごせる場所がある。
 「おひとり様の老後」には、ひとりでいたいときはひとりで、ふたりでいたければふたりで、みんなといっしょにいたいときにはみんなと過ごせる時間と空間がそれぞれあればよい。そういう生き方を楽しもう。

トピックス一覧に戻る


【9月講演会】「誤解だらけの沖縄・米軍問題」

― 9.7屋良朝博さん(ジャーナリスト・元沖縄タイムス論説委員) ―
 誤解だらけの沖縄・米軍問題
       「基地問題は = 国内問題だ!」


 「誤解だらけの沖縄・米軍基地」と称した講演会は、講師にジャーナリストで元沖縄タイムスの敏腕記者だった屋良朝博さんを迎え、一つひとつの事実と客観性ある内容で、いかに政府やメディアにだまされているか、参加者は釘付けになった。また主権国に駐留する米軍との地位協定や基地使用協定についても、日本政府の米国依存の姿が浮き彫りになった。そして「差別」とも言われるくらいに本土から沖縄に米軍基地を押し付け『他人事』としているメディアや私たちに対し「これでいいのか」との鋭い問題提起となった。
 以下要旨。

アジア太平洋地域の米軍の25%が沖縄に
 アジア太平洋地域に米軍は10万人展開しているが、日本に36,000人、うち沖縄に25,000人が駐留している。(ほかは韓国2.5万、ハワイ3.7万、洋上1万)だ。沖縄では最も危険な基地と言われる普天間基地に海兵隊が拠点を置いている。それも世界で3つのうちの1つだ。
Photo  海兵隊は朝鮮戦争後、岐阜、山梨にも基地を設けていたが、1956年に現地の反対運動とも相まって全て沖縄に移転した。そもそも海兵隊とは何か。自らを「水陸両用軍」と呼ぶくらい水、陸いずれでも戦えるが、船が大型化し、もっぱら海から陸を攻める上陸作戦を行うようになった。しかし、そのような大規模な上陸作戦は1950年の朝鮮戦争を最後に行われていない。
 現在は米本土、ハワイをふくめアジア太平洋諸国に数千名単位で数か月も訓練や支援活動に出かけており、普天間に駐留していることは少ない。
 つまり、アジア太平洋地域の安定という米軍の目的からすれば海兵隊は「沖縄に駐留」しなくてもその機能は発揮されているのである。

沖縄の「抑止力」「地理的優位性」は本当か?
 政府やメディアの主張する、沖縄は対中国、対北朝鮮に対して「抑止力になる」「地理的優位性がある」と言うことについて、屋良さんは明確に「嘘だ」と言う。そもそも海兵隊やヘリコプターを運搬するヘリ空母や上陸用舟艇は佐世保にあり、事あれば佐世保から沖縄に来て輸送するとのこと。
Photo  過去のベトナム戦争、イラク攻撃にしても50万人単位の規模の兵員を送り込んでいる中で、たかだか沖縄の海兵隊24機のオスプレイで運んでも600名弱では何もできない。
 さらに普天間移転問題の交渉過程では移転先が「北海道でもいい」という話が米軍からあったようだが、日本政府がつぶした。
 森本前防衛大臣は離任(12.25)の際「日本の西半分であればMAGTF(海兵空陸機動部隊など一体的に運用する編成のこと)が完全に機能する状態であれば沖縄でなくてよい。軍事的にはそうだ」「政治的に許容できるところが沖縄しかないので、簡単に言ってしまうと軍事的には沖縄でなくてもいいが、政治的に考えると沖縄が最適だ」と述べた。

危ぶまれる主権  ― あまりにも違うイタリアと日本の違い ―
 2004年8月沖縄の沖縄国際大学の構内に海兵隊の大型ヘリコプターが墜落炎上した。この時、米軍はいち早く構内に入り込み炎上するヘリを取り囲み、日本側の警察はじめメディアを排除し寄せ付けなかった。事故機の差し押さえ、その後の捜査権、裁判を認めず2か月後に米軍から事故調査書が提出されただけだった。
 一方、1998年イタリアのスキ―場で起きた米軍機のロープウェーケーブル切断事故では20名が死亡した。イタリア軍が事故機を押収したどころか、パイロットに事情聴取し、裁判権こそ「地位協定」により放棄したものの事故後の対策にまでイタリアは踏み込んでいる。
 これらは「地位協定」のほかに「基地使用協定」を独自に締結し、自国の主権が脅かされないようにしている。しかし、日本では「地位協定」3条の施設、設備の管理権を米軍に与えている。したがってオスプレイの配備はじめ夜中の飛行など勝手に運用されている。
 いやしくも独立国・日本として植民地と同様な扱いだ。せめてイタリアのように実質的に基地問題を解決していく方策が必要だ。

トピックス一覧に戻る


【11月講演会】「アベノミクスの行方と日本経済」

― 11.9大瀧雅之さん(東京大学社会科学研究所教授) ―
 デフレは起きてなんかいない。
       アベノミクスは無節度の超緩和金融政策で無謀だ。


 講師の大瀧さんは、国が1000兆円を超える借金を抱え、人口減少が進む中で『増税は仕方ない』と指摘。ただし、使途は『増税分を国債削減に繰り入れる目的税』とすべきとし、国債の信用力を保つことで財政破たん回避に努める重要性を説いた。また東京五輪やリニアなど大きなプロジェクトの実施は「国債の買い手(国民)」が減る中で、これ以上の財政負担増はよくない、と訴えた。

まだまだ信頼にたる日本の国情
Photo  まず最初に日本の現状について、「強い国」と見做されているドイツと日本について、いろんな指標を使って分析。またバブル期のGDP比較を通して今日の実情をとらえなおした。その結果、確かに赤字国債の数値は高いものの、対ドイツとの比較においてはドイツはユーロ危機による対外債務が多いが、日本は国内での赤字国債である。このように数値から見た国の力はまだまだ健在であることがみなされた。
 しかし、それの最大の問題は国債の信頼度であって、現行の国債をそのまま維持していくことが求められる。その信頼性を増すためにも「貸す力がある」つまり増税が必要だとの考えが示された。

インフレは逆進的な重税だ
 安部政権は金融緩和策、インフレターゲットなどいわゆるアベノミクスを打ちだしたが、そもそもその前提であったデフレや不況はデータを紐解く限り起きてなんかいなかった。意図的なインフレは事実上の重税であると説いた。
 消費税は物を買うこと(消費)にしか掛からないが、インフレはそれだけでなく、年金・賃金や預貯金等、お金の単位で収入が固定されているものに一様にかかる。たとえば日本経済全体での消費は約280兆円だが、家計の保有する金融資産は1300兆円もある。
Photo  したがって3%の消費税増税は8.4兆円だけの増税だが、政府・日銀が目的とする2%のインフレは31.6兆円もの増税になる。こうした実質的大増税がまかり通ることは極めて危険なことだ。
 また、メディアは「インフレターゲット2%」と言うことを言わなくなった。これは銀行の保有資産のほとんどが国債であり、また長期金利への影響を考慮して言わなくさせているとみるべきだ。

オリンピック、リニアのプロジェクトはやめるべきだ
 アベノミクスは無節度の拡張的財政金融政策だ。インフレは景気が良くなった結果として起きるものだが、アベノミクスでは、この逆すなわちインフレが起きると景気が良くなると主張しているが、こうした理論は経済学には存在しない。
 リニアモーターカーの敷設や東京オリンピック開催などの採算を度外視した無謀なプロジェクトはやめるべきだ。
 将来、少子化で人口が減ることが明確で片や財政再建をどう進めるかが喫緊の課題だ。そのためにどうするかが問われている。

トピックス一覧に戻る


【1月市民講演会】「粗食に秘められた健康の秘訣」

― 1.19幕内秀夫さん(フーズ・アンド・ヘルス研究所代表) ―
 今、子どもと若い女性の「食生活」が危ない。
          子供の給食は完全米食に切り替えよ。


 雪が降る中、会場には「食」に対する関心の高さからか、女性や小さな子供を抱える若い夫婦が目立った。幕内さんは永年の食事の研究をDVDや資料を通じて、現状を「日本の食文化は世界一豊かであると言われている。しかし、私たち日本人は普段どのような食事をしているか。 Photo 『食の欧米化』が問題視されてからもう何十年が経つ。しかし、未だに米離れは改善せず、むしろ悪化の事態をたどっている。さらに巷のテレビや雑誌などには根拠の定かでない怪しい情報が溢れている」と業界など商業主義に踊らされた情報に懸念を述べた。
 さらに「今のままでは子供たちや、若い女性の将来が心配だ。乳がんの疾病率の高さが食に要因があるとも言われている。また、子供たちの給食を完全米飯に切り替えることが、日常の食を改善していく出発点になる」と訴えた。以下、要旨。

情報過食症の時代 ― 急激に変わった食生活。最大の変化は「主食」のカタカナ化だ。
Photo  平成17年に「食育基本法」が制定された。それは「子どもたちが健全な心と身体を培い(略)国民が心身の健康を確保し(略)」とある。しかし行政の「食育」は業界の顔色が気になってか「○○は食べるな」という提案はなく、「○○は食べよう」とあって、ファストフードのオンパレードでスナック菓子や清涼飲料水までが並べられている。要は菓子・嗜好飲料を「トクホ」(特定保健用食品)という商品にしてまで販売するようになった。
 これより前、昭和30年頃からには「栄養改善普及活動」と称して、日本の食事に対して@ご飯を残してもおかずを食べろ、Aタンパク質が足りない、Bカルシウムの不足、C塩分が多いと喧伝され、「米食低脳論」を謳う書籍まで販売された。「頭脳パン」が売られる反面ひらがな主食は減少した。その結果、朝食は「お菓子(小麦粉、糖類、植物油脂など)になった。
 「カタカナ主食」は@「食」の工業化(科学物質の増加)A輸入食品の増加(食糧自給率の低下)B食文化の崩壊(無国籍、無地方、無季節)C精製食品(砂糖・油脂類)の増加をもたらした。

今、何が問題なのか ― 「食育」は小児から
 子ども時代の食生活は一生の「味覚」を決定する可能性がある。特に小中学校の給食は、米の消費拡大に予算を使いながら、一方で子どもたちにパンを食べさせている。全国の調査によると米飯給食回数は週5日の内、3.2回しかない。約38lはパン、ソフト麺、ラーメンなど輸入小麦粉だ。中には「カレーうどん、アメリカンドック、小倉白玉、牛乳」という取り合わせなど。。。。。
Photo  パン給食の問題点は、まずは「安全性」だ。学校給食のパンに使われる小麦粉に神経毒性のある殺虫剤が大量に残留している。また、「油脂だらけになる」つまり、バター、マーガリンはじめ副食としてハムエッグ、オムレツ、野菜炒めなど「でんぷん質」ではなく「脂肪」の供給源になる。とにかく『完全米飯給食』になれば遺伝子組み換え食品もポストハーベスト農薬も食人添加物も減らせる。すでに全国1994校(6.5%)で実施されている。結果、三条市の統計によると「給食残量」は5年間で小中校とも半減し、肥満児童生徒も減ってきている。
 1000万人の給食を食べている子どもを通じて日本の「食生活」を変えることが必要だ。

トピックス一覧に戻る


【3月市民講演会】「今、日本の民主主義が問われている」

―3.30中島岳志さん(北海道大学准教授、「報道ステーション」コメンテーター)―
 民主主義の原理は単純な多数決ではない。
          議論と合意形成の重視こそ大切なのだ。


 安部政権下における解釈改憲、集団自衛権、秘密保護法、TPP問題など民主主義の根幹を揺るがす大問題に対し、参加者は最後まで中島岳志さんの発する言葉一つひとつを、「国民主権が問われている」のだとの熱い想いで聞き入り、講演後の意見・質問では多くの発言があった。
 中島さんは最初に「3.11大震災」についてふれ、メディアの「がんばれ」「絆」の言葉に違和感を感じたこと、そして「絆」から「縁(えん)」へのひろがりが、がんじがらめの縛りから「縦」「横」から「ななめ」の関係へとつなげていくものだ、それが民主主義の根底でもある。とその真髄を述べた。
 また、大阪・橋下市長の手法をとらえて「簡単に物事が決められないことが重要なのに、議会や議論を軽視している」と指摘した。
 又、安部政権が解釈改憲をめざしていることについて「行政トップの意見による一方的な解釈変更では、立憲主義は崩壊してしまう」と批判した。「本来、憲法は国民が憲法を縛るものだ。その憲法の解釈変更は憲法改正より問題で、憲法自体が崩壊してしまう」と強調した。【以下、要旨】

「絆」から「縁」へ。「居場所」と「出番」のある社会を。
Photo  3.11のあの災害に対してメディアは「がんばれ」と「絆」をさかんに発していた。避難先や崩壊した地域では呆然と立ち尽くす多くの避難民がいるのにかかわらず、「がんばれ」と言う。目的や目標がある人には「がんばれ」はつうずるが、何に対して発しようというのか?
 「絆」と言う言葉は個の自由をしばりつけておく、いわば息苦しさでしかなく、違和感を持つ人にとっては居場所がないものだ。だからこそ、「縦」と「横」の関係だけでなく「ななめ」の関係や、組織でいえば町内会しかない社会ではなく、NPOや中間共同体のような緩やかな「縁」が求められてきている。それはいわば熟議デモクラシーと言ってよい。

Photo 橋下徹のデモクラシー論の危険
 橋下さんは「僕のやり方が間違っていれば、次の選挙で落としてくれればいい。これが現代的な選挙の意味だ」と言う。あるいは安部首相は予算委員会での答弁で「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。政府の答弁に私が責任をもって、その上で審判を受ける」と言った。
 いずれもある種多数を持てば何でもできるというトップダウンの決断主義といえる。
 議会や議論を完全に軽視した姿だ。歴史的な経験値として、民主制には独断的に決定できないような「安全弁」が装着されている。議会制、2院制、2元代表制、立憲主義……。

Photo 民主制と立憲主義の危機
 TPPは単に農業の問題だけではない。遺伝子組み換えなど平気で行われている国もある。そういう基準に合わせられことにもなる。つまり我々の主権が届かなところ、立法府を超えたところで物事が決まってしまうことになる。
 NHK会長や経営委員や法制局長官の任命問題は、従前は特定の考え方を持つ人を重要なポストに就けることや極端なことはしなかった。それはやっちゃいけないこととして「人間全体の合意形成」をとても大切にしてきたからだ。それは保守思想と言ってもよい。そういう流れや風習の中で民主制というものが育まれてきた。
 解釈憲法は絶対に駄目だ。憲法解釈が不安定になると国家の基盤が揺らぐことになり、立憲主義の根底を崩してしまうことになる。

トピックス一覧に戻る


【5月市民講演会】「漢方とは何か」〜 西洋医学と比較して 〜

―5.25劉園英さん(北陸大学教授)―
 漢方は「病人を治す」、西洋は「病気を治す」

 市民講演会では初めて「健康と病気」をテーマに、東洋医学と西洋医学の結合を意識した「漢方とは何か」の講演を行った。北陸大学で教鞭をとっていて、中国・北京出身の劉園英(りゅうえんえい)教授を講師に迎え、今回は第1回として「論理編」を。第2回は7月に「実践編」を行うことにしている。
 劉先生は最近は、漢方カフェ、漢方心理カウンセリングなど「漢方ブーム」だが、それらの動きからは歴史的な変容が読み取れる。1940年代の第2次世界大戦を境に「疾病構造の基本的な変化」が起きており、それ以前は「伝染病、感染症」が多かったが、戦後は抗生物質の普及や栄養失調が改善した。しかしそれは今日、栄養過剰、ストレス、運動不足から生活習慣病、アレルギー疾患など「個人の医学」となってきている。それがブームの背景の一つでもあると説いた。
Photo  漢方は自己治癒能力を発揮し防御能力が強く天然の生薬で、西洋医学が「病気や局部を治す」分担治療に対し、漢方は「体は一つ、病人を治す」全人治療と見ることができる。保険適用は1967年当時4品目だけだったものが、今では西洋医学にも取り入れられ医療用では148処方が一般用では210処方が対象に上っており、その効用は科学的に十分証明されている。
 以下、講演の中で特徴的な課題の要旨について紹介する。

「冷え」… 食養生で体を温める
 温暖な日本で「冷え症」の人が多い。漢方は「冷えは万病のもと」というほど、病気の原因として重要視している。それは体表の症状よりは、体内に流れている血液、水液および臓器の機能失調の表れで、養生法は体内の陽気を温存することが必要だ。生野菜や果物や冷たいお茶の取り過ぎ、過度なダイエットや朝食抜きも陽気を損なう。体内が冷えると汗もかかず、老廃物の排泄もスムーズにいかないで冷えがさらに進行する。ストレスで「気・血・水」の流れが滞ると冷えを引き起こすのでストレス解消に努めることが必要だ。

花粉症…水分の取り過ぎに注意
Photo  漢方では花粉症の根本的な原因を体内の水分代謝の問題と考えている。水分機能をつかさどる「肺の機能」が低下すると皮膚機能を調整する気が弱くなり、体内の余分な水分が汗として出ていかず、残った悪い水分にすぎ花粉などの刺激物質が肺に侵入し、くしゃみや水様性の鼻水など「寒の症状」が現れる。
 花粉症にかかりやすい体質を改善する方法として、甘い物の摂りすぎは胃に悪いので控えること、また栄養の偏りは体に様々な変調をきたすのでフャストフードやインスタント食品の摂りすぎに注意すること。さらに体を冷やすもの(果物、生野菜、アイス、ビールなど)は控えることが必要だ。

トピックス一覧に戻る


【6月市民講演会】今、私たちはどんな時代を生きているのか

―6.8金平茂紀さん(TBS「報道特集」コメンテーター)―
 「劣化する日本のメディア」

 第15回目を迎える市民講演会は、TBS[報道特集]キャスターの金平茂紀さんを迎えて「今、私たちはどんな時代を生きているのか」をメインテーマに「劣化する日本のメディア」について現状の問題に痛烈な批判を交えながらメディアの課題を語った。

Photo 劣化の背景
 具体的に3つの事例を挙げた。1つは「吉田調書」報道と他メディアの黙殺について述べた。福島第1原発の故・吉田所長の政府事故調査委の聞き取り調査資料を朝日新聞が入手したにもかかわらず、他メディアは全く黙殺で、政府も非公開を発表した。これは事故が発生してからのことを吉田所長が29時間にわたって語ったもので、未だに事故原因が特定されていない中では貴重な証言であるにも関わらず、朝日新聞や一部もメディアが関わるだけで一切黙殺する状態は「報道機関としての役割を果たしていない」と厳しく指弾した。
 2つは「美味しんぼ騒動」についてで、人気漫画「美味しんぼ」で福島第1原発を訪問した主人公が鼻血を出す描写をめぐっての論争についてで、当初福島では特段の話題になっていなかったものが、全国メディアがかわりだして一気に「福島は安全なのか、危険なのか」の不評被害だとかで論争しだす事態になってしまった。ある意味、マッチポンプ的な役割をメディアがしてしまった。
 3つは「NHKの籾井会長とその報道」のあり方についてである。時の政権によって選ばれた経営委員やそれに基づく会長就任によって、@総理会見の垂れ流し― ニュース時間帯など生放送の強要 A政権の意向を先取りした報道(予測記事)、B粛清人事で居に沿わない人の異動 C理事会機能の弱体化、 がNHK内部で進行していると述べた。
 特に公営放送として先輩格にあたるBBC放送が、イラク戦争の際、核や毒ガスをイラク国内に隠し持っていることを理由に攻撃をしようとする米国や英国ブレア首相に対して、激しく抵抗し、その後もその検証を迫り「なかった」ことを証明したメディアの姿勢についていいお手本であることを強調した。

Photo これから何をすべきか
 金平さんは「つくる側と見る側はセットで考えるべきだ」つまり広い意味でのコミュニケーションが必要だと述べ、具体的には@外に向けてのネットワーク、個人的な人脈づくりが必要なこと A無謬主義、独善主義からの脱却 B知性の復権 Cユーモア、の4点を指摘した。
 @については、利害の関係のないそういう個人的な人脈を持つことが人間力を豊富化することに繋がる。Aは自分は正しい、周りが悪いと言ったりすることはダメだ。間違いがないことはない。福島原発事故を経験しながらも、それを忘れて稼働させようとする。何を学んだのかが大切だ。Bについては物事を地道に考えようとすることについて情緒的なものとか「俺たちバカだからさ」のように勢いで言ったりして、じっくり考えたり、汗を流してでもやろうとすることが「ダサい」という見方がある。私なども事件や報道について「おかしい」と言うと邪魔くさがられる、あるいは報道姿勢が固いと言われることもあった。知性を大切にすることが今問われている。Cは自分に対するユーモアや余裕を持たないと人も笑わせられない。人生80年の中で楽しみやおかしさがないと自分も豊かになれない。

集団的自衛権の行方は ― 活発な質疑
 講演後の質疑では活発な意見交換となった。「集団的自衛権」をめぐる見通しについては与党協議としての公明党は野党になってでも拒否は貫かれないだろう。そもそも公明党を巻き込まなくても自民党は単独でも多数をとれる訳だから強行するのではないか、と述べた。そのほか「ウクライナへのロシアの介入」「西欧の『移民排除』『反EU』の右翼の台頭」「小保方さん騒動にみる社会的倫理観の劣化」「マスコミと権力の距離感が近すぎではないか」「官邸機密費」「安倍政権は何をめざそうとしているのか」など多岐にわたる発言があり、予定時間を大幅に超えての市民講演会となった。

トピックス一覧に戻る


【7月市民講演会】漢方とは何か・その2〜 漢方による健康パワー 〜

―7.27劉園英さん(北陸大学教授)―
 ストレス解消、老化防止に、

 前々回(5月25日)に引き続き漢方をテーマにした講演会で、今回は「実践編」と称して「健康をどう維持するか」「健康をどう取りもどすか」ストレス解消、美肌などへの対処法について紐解いてもらった。以下要旨。

ストレス − 心は静かに、体は動かす
Photo  ストレスとは、医学的に言うと、何らかの刺激が体に加えられた結果、体が示したゆがみや変調のことだ。全くストレスのない生活は考えられないが、軽い適度なストレスはいいものです。強いストレスは、それが長く続くことが問題です。だから健康を守るために、ストレスと上手に付き合い、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切だ。
 漢方では人体は「気・血・水」の3要素で成り立っていると考えられているが、中でもストレスと関係が深いのは「気」で生命力のエネルギー源で、過度なストレスで気が乱れ、神経症や抑うつ症などの症状が現れる。
 漢方のストレス解消法として「心静(しんせい)、体動(たいどう)」とある。心は静かに体は動かす、という養生訓だ。具体的には、笑う(免疫力を高める)、入浴(36℃〜39℃)、運動(有酸素運動)、睡眠、食生活、呼吸法(腹式呼吸、瞑想)、スムーズな排斥(快汗、快尿、快便)によって効果がある。
 また、食材としては気分を明るくするものとして「春菊、わさび、大根、山椒、みかん、らっきょう、玉ねぎ、シソの葉」が。血流の効果があるものとして「ニラ、ショウガ、菊の葉、米酢」などがあげられた。

老化防止 − 腎虚と唹血(おけつ)の改善
Photo  老化現象は漢方では臓器衰退の表れで、血を貯蔵する「肝」の虚弱が関係している。また皮膚のシミ、呼吸の異常は「肺」が虚弱していると考えられる。そのため基本的な老化防止には@漢方薬やツボで腎を補う A血液をサラサラにする B骨を丈夫にすることが大切だ。
 「補腎」としての食材としては、黒い食材(黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ)種穀(くるみ、栗、松の実など)が適用している。また「活血」としては、ヌルネルねばねば系(納豆、おくら、なめこ)、海藻類(昆布、わかめ、ひじき、めかぶ)、魚は青魚(さんま、イワシ)が良い。
 また、「脳の老化防止」策として「風池(ふうち)」と言われるツボを指圧することを教えられた。耳の後ろの髪の生え際にあり、親指の腹で皮膚に対して垂直に押し、1〜2秒押したら力を緩める。これを2〜3回繰りかえし行う。日常生活では趣味の養成、運動は指運動が大切。気分は楽観、知足で、感情は恐れ、不安をなくし、休養をとることだ、との実践指導もあった。

トピックス一覧に戻る


【9月市民講演会】「迷走する集団的自衛権と日本の民主主義」

―9.7柳澤協二さん(元・内閣官房副長官補)―

 元防衛官僚の柳澤さんは、小泉政権時代の自衛隊のイラク派遣や第一次安部政権で内閣官房副長官補を務めた経験を踏まえ、集団的自衛権の問題点や、歴代政権と現政権の安全保障に対する違いを指摘した。
 その上で、安部首相が集団的自衛権の行使容認が戦争の抑止力につながると発言していることに「抑止力と言えば何でもできると思っているのはおかしい」と批判した。また、沖縄の普天間移設工事に関しては、知事選が大きなポイントだが、反対派が圧倒的に勝ってアメリカ政府が驚愕する状態をつくることが大切だと述べた。以下要旨。

安部政権の異常さ
Photo  安部首相は何をしたいのか、わからない人だ。著作本によると、自分の代で安保を成し遂げたい。アメリカとイコールパートナーとなるためには血を流さなきゃ駄目だ、と言っている。でもアメリカとイコールパートナーとなって「何をやりたい」のかがわからない。歴代政権は「憲法と安保の調和」を図りながらアメリカとの同盟を維持してきた。イラク派遣、インド洋の補給についても腐心してきた。歴史問題も過去日本から言い出すことはなかった。また、自民党は憲法改正とは唱っているが変えることもなかった。人柄にもよるが、あいさつで「哀悼の意」を示しながら、片方で「見解の相違」と言って異論を切って捨てる。これでは自分の意に沿う取り巻きだけになってしまう。

集団的自衛権の嘘
 歴史的に一番最初の集団的自衛権は1965年、ソ連のハンガリー侵攻だ。そしてアメリカのベトナム戦争だ。どちらも「助けてくれ」の要請に基づくと言っているが、実態は軍事介入を正当化するための集団的自衛権で、双方で何十万人の犠牲を出している。ベトナムでは韓国兵が5千人も亡くなっている。「アメリカを助けないと助けてもらえない」との言い方をするが、アメリカにとって地理的に日本は重要な地域で、日本は基地・金(5500億円/年間)を拠出している。さらに今度は血か?となる。
 国際情勢が変わったというが、@国際テロは軍事力では防げない A北朝鮮の核保有は既に抑止されていて、ミサイル発射はアメリカへのメッセージとして発射している。政治力で対処すべきだ。B中国の台頭を軍事費が4倍に増加というが、アメリカは更にその2.5倍のレベルだ。米中は最大の経済パートナーだ。中国には国際ルールを守らせることが必要だ。

閣議決定のおかしさ
Photo  3要件(他国の攻撃が日本の存立〜、他に適当な手段がない場合、必要最小限な対応)を集団的自衛権行使に当たっての「歯止め」としているが、そもそも過去日本は一度もアメリカの戦争に反対したことがない。まして「日本の存立が脅かされる」は石油、食料の輸入も含まれる。また「最小限」は結局無限の拡大を持ってしまう。
 政府は「邦人輸送中の米輸送艦の防護」のパネルを持ち出し、集団的自衛権の事例を紹介したが、これは全くあり得ない事例だ。紛争状態になれば、邦人は民間機や船で避難をし、残った人は自衛隊が移送する。ましてや避難民を乗せた米国艦船を自衛艦が防護することはありえない。
 「抑止力」の本質は「脅し」だ。各国は戦争のコスト上昇・不経済化を学んできた。近年は小規模衝突の危機をいかに防ぐかだ。今、問われているのは、まず日本は国家像として「通商国家・ミドルパワー・平和国家のブランド」を持つことだ。

トピックス一覧に戻る


【11月市民講演会】「地域創造力に向けた次の一手は」

―11.23高野誠鮮さん(総務省地域力創造アドバイザー、羽咋市役所職員)―

 第18回市民講演会は、「ローマ法王に米を食べさせた男」の著者で総務省地域力創造アドバイザーの高野誠鮮(じょうせん)さんをお迎えし、羽咋市神子原の取り組み、そしてこれからの農のありかた、地域力アップの理念などを、自らの経験を通して2時間にわたって話した。高野さんは今後の農業のめざすものとして、過疎の集落から、日本から世界のマーケットを取りに行く戦略(相手国が幸せになれる)を打ち出す、と抱負を述べた。以下、講演の要旨。

可能性の無視は最大の無策
Photo  高野さんは現在、羽咋市役所の職員で農業の職場に移動になったいきさつ、そしてそこでの問題に出くわし平成17年、当時限界集落と言われていた神子原地区での活性化に取り組み始めた。具体的に動くには「役所」「役人」との葛藤が付きまとう。役所志向は@誰も反対しない意見でまとめようとする、A経験的知識が乏しく、誤判断する、Bアントプレナー精神がない、C合議制によって責任所在が少ない、D社会経験が少ない−があると指摘。しかしこれに構わず、会議はしない、企画書も作らず、神子原集落地で「農産物の流通経路を直売(自分で希望小売価格を)に」「空き農家・農地情報バンク」「若者の移住政策」を進めた。
 その結果、@高齢化率の改善54%→47.5%に、A所得の向上 月額30万超えの農家、BUJIターンの現象(8名)、C農家カフェの誕生、D夏冬に都会大学生が集落合宿、E13家族39名が他県から移住 − となった。

3つの基本戦略
 地元の人が動き出すまでには時間がかかる。そのため集落の外堀を固め意識改革を進めることにし、「人を動かすメディア戦略」「購買意欲をかきたてるブランド戦略」「多くの人が訪れる交流戦略」を構想した。メディアでは地元よりも外国、全国に発信し、地元は最後にした。
 中でもブランド戦略としての「ローマ法王に米を贈った」事例は象徴的で、「神子原」はイエスキリストの聖なる地名として喜ばれるだろうと神子原米を献上し、これがその信者を通して一気に広がった。そこに至るまでの失敗談を面白おかしく話され参加者の談笑を誘った。また、神子原米の米袋も著名なデザイナー、高級日本酒も製造し、デパート等流通機構に対しての挑戦も怠らなかった。
 農家所得は1俵13,000円が3倍になり、過去1所帯87万円の年収がサラ―リーマン並みになり、農家の人達は「農業やってて(続けていて)良かった」と言えるまでになった。

目的は「賑やかな過疎集落」へ
Photo  羽咋市の一番厳しい環境の小さな農村から、将来の農業を厚く語れる集落づくりで、「農業」が職業になる集落づくり、そして消費者と農家がWin−Winの関係になることをめざしたい。
 神子原に農家だけで作った株式会社がある。@出資は農家169戸中147戸(現時点)、700万円、Aご婦人が店舗・加工所を設計し、B質の悪い物は売らない − を鉄則に11人の社員がいる。
 今、また新しいプロジェクトがスタートしている。「JAと組んでTPPに挑戦」と題して自然栽培の農法だ。「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんのもとで自然栽培塾が始まったのだ。腐らず枯れる野菜・穀類作りが始まったのです。これが将来の日本の最大の「売り」になり、日本の農業が世界中から感謝されるのではないか、とほくそ笑んでいる。

トピックス一覧に戻る


【1月市民講演会】「安倍政権の歴史認識と現代日本」

         ―1.25保阪正康さん(ノンフェクション作家)―

 戦後70年の2015年。安倍政権下において国のかたち、国の方向までも変える動きすらある中で、勇ましい話や心地よい話だけに雷同するのではなく、あの戦争から一体何を学ぶべきなのか、との立場からノンフェクション作家の保阪正康さんを講師に迎えた。
 保阪さんは「昭和史を語り継ぐ会」を主宰し、日本の陸海軍や昭和天皇など昭和の戦争に関する著書が多数あり、昭和史研究を通じて、安倍政権下の現代社会について提起された。
 参加者は若い人も多く、保阪さんの国内外4000人以上の聞き取り調査と緻密な歴史文書の分析に基づき「歴史修正主義」は認めてはならないとの提起に参加者は最後まで熱心に聞き入った。(以下要旨)

地域によって戦争被害とその受け止め方が違う。受け止める「構え」が必要
Photo  全国各地で講演をしているが、狭い日本の中でもそれぞれ戦争の受け止め方が違う。戦争被害の実状は簡単に割り切れないが、単純に戦争末期B29による本土爆撃で亡くなった人は少ない県で山形16人、島根19人、石川、長野などで逆に軍需工場が多い東京、愛知、大阪、神奈川は何千人の単位の死者数で被害は甚大だ。「少ない地域」の人は戦争の悲惨さの話を聞いても「お気の毒に」の感覚だが、多い地域は戦後70年経っても涙にくれる人が多い。
 また、当時陸軍は地域軍隊で旭川連隊、高崎連隊と言うように連隊ごとに召集され、また戦闘の派遣地域が違いこれにより戦死者の数が大きく変わった。戦争のことを語る時には、その地域の実情を受け止めておくことが必要だ。
 日本は戦争そのものを語る前に文化そのものに問題があったことをふまえるべきだ。@軍事が政治をコントロールしていた。日本以外の全ての国は曲がりなりにも政治が差配したが日本は軍が全てを握っていたために「勝つまでやる」しかなかった。A特攻隊と言う「死ぬしかない」途を国家の意思として採用してしまった。玉砕と言う手法もそうだ。B20世紀の戦争は捕虜のルールが扱い方など国際的なルールがあったが、日本は無視してしまった。− 戦争からの教訓を学ぶとすれば、日本の昭和の軍隊は常識、文化、規範などの視点からもとらえておく必要がある。

「平和憲法」で思考停止していないか。歴史を実証的に検証を
 現在の憲法は素晴らしいと思う。しかし戦後の活動は「平和」を希求するものとして掲げてきているが、「平和憲法」ということによって「守ればいいんだ」といわば思考停止していないか。私は率直に言って日本国憲法は「平和憲法」というより「非軍事憲法」なのではないかと言いたい。本当に「平和」をつくり出すためには不断の努力と大きなエネルギーが必要なのではないか。錯誤がないかどうか問いたい。この点、安倍政権は「戦後レジーム」の清算、解体などと言っているがその隙間を就いてきているのではないか。私は半分はあたっているのではないかと思う。
 戦争直後の国民の認識と感覚は確かに「戦争は2度と嫌だ」「平和を求める」気持ちが全てだったが、時代が経過し70年もたつとそれは耐用年数が切れてくる。つまり「戦後レジームの疲弊」が出てきているのではないかと思う。憲法を土台にした戦後民主主義の歴史をどう見るか、大きな度量をもって検証することが必要だと思う。

「歴史の修正主義」は認めてはならない
Photo  安倍政権は戦後民主主義を支えてきた根幹(憲法を土台にした戦後体制)に性急に手をつけている。その政治的手法は、@政治哲学なしの強引な手法 A自らが政治的権力のすべてを担っていることの錯誤である。その意味でこの政権には歴史的な危険性がある。
 歴史修正主義は許してはならない。侵略戦争に定義がないと言ったり、あれは聖戦だといいたいのだろう。安倍政権は権力と一体化しているところが特徴であり問題だ。このままいくと国際的に孤立する恐れがある。
 21世紀は東西冷戦の終焉を迎えて、新たに「民族と宗教」と言う人間の地肌が露出している時代だ。経済的利害対立や思想的葛藤とは異なって、きわめて原初的な憎悪の感情を土台にする点で、指導者は冷静、沈着、理性が求められる。特に日本は近代史でそれに反する社会をつくりあげただけに、なおのこと自省が必要である。

トピックス一覧に戻る


【3月市民講演会】「2015年の日本を展望する」

         ―3.29高野孟(はじめ)さん(ジャーナリスト)―

 20回目を数える記念すべき市民講演会は、安倍政権下で改憲論議、集団的自衛権をめぐる安保法制、沖縄・辺野古の埋め立て調査、原発再稼働等国論を二分し物議を醸しだしている状況で、「2015年をどう展望するか」について、ジャーナリストの高野孟さんを講師に迎えた。
Photo  高野さんは冒頭、安倍政権について「異常な状態で、国民は重苦しい気持ちになっている」と、いくつかの事例を挙げた。又、「世界が安倍に違和感」を感じており、「日本はこれまでの平和主義を守り続けるのか、それとも米英のように『列強』としての道を歩むのか」と疑問を投げかけている。
 このような状況は「戦後70年」の節目において、この4月からの数か月間は外遊を通じて大きく問われることになるだろう。2015年は安倍政権にとっても国民にとっても大きな節目の年になるとの見通しを語った。(以下要旨)

民意を無視し、異論を許さない政権と問題提起しないメディア
 NYタイムズのファクラー東京支局長は「安倍首相はこれまでの日本とは全く異なる国家を作ろうとしている。日本はそういう岐路に立っているにも関わらず何故日本のメディアは国民に問題提起しないのか」とのべ「朝日新聞も読む価値がない。私が手にするのは日刊ゲンダイ、週刊金曜日、週刊現代だ」と日本の異常な状態を指摘している。
 鳩山元首相は高野さん他数名でクリミヤに3月に行ったが、外務省、メディアは「国益に反する」「国賊だ」のバッシングだ。また沖縄・辺野古についても名護市長選、翁長知事選での圧勝、総選挙で全ての選挙区で反対派が勝ち「基地反対」の民意がハッキリ示されているのに一切の異論を許さないとの態度だ。
Photo  また福島第1原発についてはアンダーコントロールされていると言いながらじゃじゃ漏れの状態だ。イスラム国における後藤さん殺害に至る安倍首相の発言についても、外務省が「イスラム国と闘う諸国」の一句を入れないでくれと言うのを官邸として盛り込み、結果として惨劇を起こしてしまった。このように国権主義(お上に逆らう者は蹴散らして進と言う強権主義)の政治が全ての面で行われている。

混濁している「集団的自衛権」。列強への道か?深まる対日疑念。
 集団的自衛権を巡って与党による安保法制の論議が行なわれているが、何が何でも自衛隊の海外武力行使を行わせようと、無理にこじつけた仕組みと論議が行なわれている。いわゆる5つの「事態」が、緊急対処事態/武力攻撃予測事態/武力攻撃事態/周辺事態(重要影響事態)/新事態(存立危機事態)がそれだ。しかし安倍が拘る「ホルムズ海峡機雷除去」「邦人救助」などは集団的自衛権とは全く無関係だ。また、「アメリカ本土攻撃の北ミサイルを撃ち落とす」についても技術的に見ても、地球視点から見てもありえない事柄だ。
 日本は「集団的自衛権」に名を借りて海外武力行使ができる戦前型の自立軍事国家をめざす、のではないかと言う米国の対日疑念がますます深まってきている。

「戦後70年談話」歴史修正主義批判に曝されるディレンマ
Photo  3月に訪日したメルケル独首相は「過去に向き合うことが近隣との和解の基礎」だとドイツの戦後の歩みを語り、やんわり日本の現状について示唆した。安倍首相の村山談話の否定しようとする動きがあるが、この春からは国際会議がメジロ押しで、4月のバンドン会議発足60年、アメリカ議会での演説、第2次世界大戦の戦勝記念がロシア、中国等で開かれる中で、日本がどういう立場を示すのか世界から注目を浴びている。
 そういう中で改憲をめざす9月自民党総裁選で安倍首相の再選はあるのか、内外で波乱の起きる可能性はありうる。

トピックス一覧に戻る


【第3回社員総会】刀鍛冶・松田恒春さん特別講演

 古刀再現へ鋼(はがね)づくり
       〜 いにしえの刀匠をめざして 〜


 石川県内唯一の刀鍛冶の松田恒治さんは51歳。卒業後会社員をしていたものの、科学雑誌の「昔の刀」の神秘に魅かれ25歳で職を辞し、2年後、人間国宝の技を継ぐ山形県の上林恒平師に弟子入りした。1997年に独立して刀づくりをはじめ、昨年は日本刀10振りを制作した。月に3本が精いっぱいだという。全国に刀鍛冶は約250 人いるが刀だけで飯が食えるのは1割がいい所だという。

高い鍛接技術と優れた日本刀
 刀の作り方は、最初に和鉄(江戸時代に用いられた古釘などの金具)を潰し、マッチ棒ぐらいの大きさに細断し、それを半溶解させ日本刀に適した鋼をつくる。これを卸鉄法と言う。それを四角に整形し、延ばし・折って・くっつけるという作業を繰り返し、鉄質のムラを無くす。これを「折り返し鍛錬」という。そのため「火床(ほど)」と言う1500度にもなる炉で真っ赤に熱し、大きな槌で塊を打ち据える。そのため鋭い金属音と火花が飛び散る。
Photo  電気も溶接器もなかった江戸時代以前は全てこのような鍛接技術しかなく、その技術力の高さには感心するという。そしてできた地鉄を打ち伸ばし日本刀の形にしていく。綺麗に仕上げるまでには、大きな鉄やすりを使って鉄どうしを擦りあげていくが多くの労力をかけることになる。

全盛期は鎌倉から室町時代に
 刀は紀元前13世紀にも遡り、鉄と製鉄法の伝搬によって、インド、中国そして日本にはヤマト時代に直刀として伝わったという。日本での製造は古墳時代、砂金がとれた島根のたたら製鉄がその発端と言われている。日本刀と言う言葉は、西暦1000年くらいに中国の詩「日本刀歌」に出てくる。刀は人を切るために作られた武器であり、全盛期は鎌倉から室町時代だ。
 そういう歴史の流れが感じられるのが日本刀の魅力の一つである。特徴は刀のそり加減の「姿」、様々な紋様の焼き刃「刃紋」、によってできた「地鉄」などが見どころだという。
 究極の目標は、「古刀」と言われる江戸時代以前の刀で、室町中期につくられた刀はダマスカス鋼にも似ていて、その製法は未だにわからないそうだ。故にその再現は全ての刀工の夢だと言い切る。古刀の復元には古い時代の鉄がいる。たたら製鉄で作られた「和鉄」を常に求めている。
 今後の目標について松田さんは、何よりもキズがなくうまく刃が焼けていたらうれしい。独立して17年。「少しでも古に近づける鋼づくりに力を入れたい」と語っていた。

トピックス一覧に戻る


【8月市民講演会】国民なき経済成長 〜脱・アホノミクスのすすめ〜

         ―8.16 浜矩子さん(同志社大学教授)―

 安倍政権の「株高」「円安」を誘導するいわゆるアベノミクスの経済運営に対して、一貫して警鐘乱打している浜矩子さんを迎えての市民講演会は、お盆時でありながら会場満杯の皆さんで溢れ盛況だった。「日本を取り戻す」の意味が単に経済・財政基盤の強化だけでなくて、安保・軍事を絡めた経済政策となっていて、国民のための経済となっていない。いかに乱暴なことなのかを説きながら、今後この状態を継続するなら悲劇的な事態もありうる。そうさせないためにも安倍政権を「退場」させることが必要だと述べた。以下要旨。

Photo やっかいなアベノミクス
 私はアベノミクスのことをアホノミクスといっている。最近はこれの頭に怒をつけ、ドアホノミクスと言いたいぐらい酷い状況になっている。その根幹は「日本を取り戻す」にあるようにおかしな「取り戻したがり病」にかかっている。何から取り戻すのか、後ろ向きな言い方で、目が過去に注がれ将来に向いていない。紐解くと@強い日本を取り戻す A強い経済を取り戻す B誇りある日本を取り戻す と言うことのようだ。
 今年4月に安倍首相は米国の上下両院議会で演説をしたが、実はその日に米・笹川平和財団で「アベノミクスと私の外交政策は表裏一体だ」と述べている。経済を成長させGDPを増やせば国防費も増やせる、外交安全政策に不可欠だとも言っている。
 経済活動の役割は@インフレ、デフレの様な崩れたバランスの均等を回復する、A貧困など弱者救済のように、人間の営みとしての経済活動であるべきであって、アベノミクスは経済政策の類に値しない。

Photo 何故、成長に拘るのか?
 私たちは「成長」という言葉に弱い。成長神話に取りつかれている。言語的には「進歩する、進化する、賢くなる意味」があるが、成長が必要なのは@これから全てが始まる Aそれまでのすべてを失った場合、のことで、今の日本はどちらでもない。豊かな社会なのに富の偏在が起きている、子供たちの貧困、母子家族などの困窮率が高まる社会になっている。経済は未来永劫「成長」することはない。グローバル経済はもはや地球からはみ出している。だから異常気象などが起きる。

日本経済がアベノミクスの向こう側に目指すもの
 押さえるべきポイントは3つ。1つは原点回帰で経済活動が人間を不幸にしてはならない点だ。2つは黄金のバランス感覚であること、つまり人間と経済の関係修復が必要だ。孔子は「心の欲するところに従えども矩(のり)をこえず」とある。心の欲するところ、やりたいほう放題だが、「矩をこえず」は社会規範とか人様に迷惑をかけない節度、の意味で、要は自我と論理のバランスをとる。これこそが経済活動というあるべき姿だ。
 3つは「3つの道具」を活かせと言うことだ。耳と目と手を使って、違う意見も受け止める耳、人のために泣ける目、差し伸べる手。アホノミクスが持っていない道具を使うことが今、必要だ。

Photo 日本の財政は危機のさ中にある
 日本の財政はギリシャよりも悪いかもしれない。それは日銀が隠ぺいしているからで、今や日本銀行は中央銀行ではなく、「金貸し」(国債を買いまくっている)になって隠ぺいしているからだ。このままいくと国債を手放し、円もぐらつき、株も暴落し、悲劇的な事態を迎える可能性もなしとはしない状況だ。為政者は、今さえ良ければいい、という対応しかとっていない。だからこそ、少しでも早く本来の経済活動に軌道修正すべく、安倍政権を退場させることが求められている。

トピックス一覧に戻る


【9月市民講演会】いま、憲法改正をどう考える
              〜戦後70年目に問われていること〜

         ―9.27 樋口陽一さん(憲法学者)―

 9月27日、憲法学者の樋口陽一さんを迎えての市民講演会は、その1週間前(9月19日未明)に強行採決された「安保法案」を受けて、廃棄させたいという参加者の熱気の中で開かれた。
Photo  樋口さんは憲法学者の第一人者でありながら、今まであまりメディアや大衆の面前に出ることはありませんでしたが、「安保法案」が国会で審議されるようになってからは「『安保法案』は憲法をないがしろにするもので許せない」として、国会前デモでは先頭に立ってマイクを持ちました。
 この日も穏やかな語り口ながら、自民党憲法改正草案を引き合いに出しながら、何が大切なのかを丁寧に話されました。そして最後に若い方々が反対の声をあげている「SEALDs」を引き合いに出して「皆さん、こういう若い人たちを守ってあげてほしい」と老憲法学者(81歳)の若い人々にかける想いを訴えられました。以下講演要旨。

安倍談話の傲慢さ
Photo  8月14日に発表されたいわゆる安倍談話とそれに対する記者会見が行われた。確かに中国、韓国は穏やかに受け止められたが、談話はあまりにも長く、焦点を絞らず「70年目」としてはふさわしくなかった。
 冒頭の「100年以上前」「欧米列強の植民地支配」とあるが、この文脈からは「あなた方も悪いことしていたんでしょ。何故私たちだけが謝らなきゃならないの」と読まれる。敗戦直後の帝国議会では憲政のリーダーだった尾崎行雄が「わが日本は後から気が付いて植民地獲得競争に割り込んで大きな失敗をした」と述べている。天皇が「1931年からの戦争」と述べていることとは対照的だ。
 ドイツのワイズベッカーが1985年ドイツ・ナチの「罪の告白」をし、この責任を全ドイツ国民が未来永劫引き継いでいくとの演説は全世界に感銘を与えた。そう言う点からしても安倍談話は具体性に欠け未来への言及もなかった。

自民党憲法草案は「現行憲法」とは全く異質だ
 2012年4月に自民党は憲法草案を発表しているが、まずその進めからして姑息だ。
 憲法改正には国会での3分の2以上の賛成が必要でそれは難しいとの判断から、96条の改正を求めたことがある。それは「裏口入学の様なものだ」「ゲームが始まっているのにルールを途中で変える」などの総批判で頓挫しているようだが、今後またぞろ出してくるだろう。
 多くの指摘・問題点があるが、まず前文は支離滅裂だ。「人類普遍の原理」を締め出すと同時に日本独自の価値を背負うような言葉を連ねている「天皇を頂く国家」「国と郷土」「和を尊び」などこういう言葉をとりあげて、何が排除されようとするのか。
Photo  また、「活力ある経済活動を通じて」のように新自由主義をめざす用語が並ぶが、農破壊と「日本らしさ」は両立すのか。
 中でも私は現行条文で、13条が最も大切と思っている。「すべて国民は『個人』として尊重される」。これを自民党草案は「人」と置き換えている。「人」一般ではなくて「人権」すなわち生命、財産などを含めたものでなければならない。

明治憲法策定に至る高尚な論議過程をふまえて
 憲法をつくると言うのは権力を制限することなんだということは明治憲法を作った伊藤博文が一番よく知っていた。
 その精神について「第1に君権の制限にある。そして次に重要なのは、臣民の権利を明記することである」つまり、天皇の大権を制限し、国民の権利を守ることだと言っている。  ここに至るにあたって、伊藤博文と当時の文部大臣・森有礼の論争があるが、その当時から、自然権(「天賦人権」)が提起されていた。非常に高尚な論議が行なわれていた事実を歴史的にふまえることが大切だ。

トピックス一覧に戻る


11.1〜2「沖縄映像祭in kanazawa」

『報告』沖縄映像祭に700名余が集う
        〜14本のドキュメントに感銘と涙〜


Photo  11月1日、2日の2日間、金沢大学角間キャンパスにおいて、「沖縄映像祭in kanazawa」と題して沖縄の民放3局(琉球放送、沖縄テレビ、琉球朝日放送) とNHK沖縄放送局が作成したドキュメント作品14本を上映しました。参加者からは「沖縄の真実の姿」を初めて知ったとの声が上がりました。
 この催しは全国的には沖縄の名護市(2015年1月)、長野・上田市(8月)、東京(9月)、そして金沢で開かれたもので、沖縄「NPO法人文化経済フォーラム(代表・具志堅勝也さん)」と地元受け入れ側「NPO法人未来塾・大人の学び」との連携の下に開催したものです。
 会場の角間キャンパスは大学祭が開かれており、一つのイベントとして「沖縄映像祭」を設定したものです。広いキャンパスは多くの学生や家族連れで賑わい、「沖縄映像祭」の2つの上映会場には2日間で延べ721人が参加されました。中には全ての作品を観ようと2日間連続して訪れた人や、名古屋市、富山市の遠方からも訪れました。
国策に翻弄され続ける沖縄
Photo  沖縄は今、普天間基地問題と辺野古新基地埋め立て工事を巡って、揺れ動いていますが、今回上映した作品は、サブタイトル「終わらない戦後」にあるように、沖縄戦に始まり米軍統治時代を経て、今なお続く基地の重圧をテーマに取り上げました。(プログラムは9P参照)。
 しかし、各作品とも沖縄の基地問題のみならず、憲法9条や日米安保、特定秘密保護法、集団的自衛権など日本全体で考えるべき問題をテーマに取り上げ、国策に翻弄され続けた沖縄の、戦中戦後史を振り返ることで、日本がこれからどのような方向に進むべきかを考察する機会をつくり得たのではないかと思います。
三線の演奏で沖縄を醸し出す
Photo  1日目は上映会の他に、三線のライブと講演会「普天間基地問題とメディア報道」(講師:具志堅勝也さん:元琉球朝日放送政策報道局長)が行われました。
 三線は金沢市内の今井浄(きよら)さんら7名のグループ「琉球moon」により演奏されました。金沢での三線(さんしん)演奏は珍しく、なじみが薄いため、沖縄での歓喜の際の指笛やカチャ―シーで喜びを表すことはありませんでしたが、参加者はリズムをとりながら沖縄の雰囲気を味わっていました。
 具志堅さんの講演は、本人が琉球放送、琉球朝日放送のマスコミの一角に在職して、実際に映像を撮っていただけに臨場感ある生々しい報告がされました。特に、東京のキー局とローカル局との全国版に載せる番組のせめぎ合いや、又2004年に沖縄国際大学に墜落した米軍ヘリを取材する側と米軍の警備兵との激しいやり取りなどが事細かに報告されました。
 全国ネットのメディアにとって沖縄はもちろんローカルにおける殺傷による大きな事件・事故、政局に関わる内容はニュースになっても、目に見えない事件は報道の対象にならないことが赤裸々になり、メディアによっては「政府の広報化」していることもわかりやすく比較説明されました。

Photo 「普天間基地問題とメディア報道」 【講演要旨】
講演:具志堅勝也(元琉球朝日放送報道制作局長)


普天間はいつ造られた
 地元のローカル放送局に35年間勤めてきた。沖縄のニュースを全国放送に載せることは大変なことだ。特に沖縄は基地を抱えており何かにつけ米軍による事件・事故が多く、それに根底には「日米地位協定」が絡んでいる。
 普天間基地は@1945年米陸軍が上陸と同時に作られ、A土地を奪われた住民は仕方なく基地周辺に住みついた。B1957年に空軍に移管、60年に海兵隊に移管し、C海兵隊が海外に唯一持っている基地だ。
 辺野古新基地建設問題は1966年米軍によってマスタープランが作られており、ベトナム戦争で戦費がかさみ幻になっていたものだ。ところが1995年に3米兵による少女暴行事件がおきて「普天間から出て行け」が米軍にとっては渡りに船で、移転の話になった。
全国メディアの報道姿勢
 安倍政権が発足するまでは全国メディアの沖縄報道はほとんど無関心だった。せいぜい関心はあっても辺野古やむなしの論調だった。
 ところが2013年暮れ仲井真知事が埋め立て承認をしたことに県民が怒り、2014年1月名護市の稲嶺市長が再選(反対派)された頃、全国メディアは沖縄の怒りの実感はなく、読売、産経、日経の政府寄りのメディアは「辺野古移設を後押しする」内容で、産経は社説で「辺野古移設ひるまず進め」と掲載していた。
 また沖縄寄りとされる毎日、朝日は「一見沖縄寄りに見えるが県外国外の可能性については言及しない」内容だった。
本質問題に触れず
 また報道内容についても在京メディアは本質的なことには全く触れようとしないものだ。2004年沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落事故を起こした時は、墜落現場を米軍が封鎖し消防も警察も一切タッチできなかった。これは日米地位協定によって「米軍の財産についての捜索は米軍の許可が必要」と言って現場検証も出来ない大きな問題となった。
 この日のテレビ朝日の報道は、@アテネオリンピック開幕が5分10秒、Aプロ野球巨人軍渡辺オーナー辞任が1分20秒、B関西電力原発関連2分30秒、C沖縄大学ヘリ墜落が1分30秒だった。その他の在京テレビ局も@渡辺オーナー辞任、Aアテネオリンピック開幕で、沖縄ヘリ事故はB〜Dだった。最も重要な「日米地位協定」の報道は事故機が撤去された4日後に朝日、毎日がたった1回触れたのみだった。
 このように在京全国メディアは、日米地位協定の問題を日本全体の問題とは考えていない認識の欠如がある。
海兵隊の抑止力に対する誤った認識
 海兵隊の役割は空海軍の攻撃後強襲揚陸作戦攻撃に参加し、その後は陸軍と同じ地上戦に加わるもので、沖縄には海兵隊を運ぶ艦船が無い。佐世保に4隻あるが3,800人しか運べない。つまり移動には時間がかかるため、地理的優位性で沖縄に駐留している訳でない。
 元・森本防衛大臣は「海兵隊が沖縄になければならないという軍事的理由はない。政治的な理由による」と明確に応えている。
沖縄知事選を機に2極分化
Photo  2014年11月翁長知事が誕生し政府寄りの在京全国メディアは「辺野古促進キャンペーン」を張だした。読売は「辺野古移設を停滞させるな」、産経は「政府は粛々と移設準備を」の社説。これに対し毎日は「白紙に戻して再交渉を」、朝日は「辺野古移設は白紙に戻せ」と述べるなど沖縄寄りに一歩踏み込みだした。
 さらに12月の衆議院選挙では沖縄4つの選挙区全てで自民党が敗北した。しかしそれでも読売は「自民候補の敗退が辺野古移設に悪影響」産経に至っては自民党谷垣幹事長の談話として「普天間移設先は辺野古しかない」と掲載している。政権側の危機感の表れと読み取れる。衆議院選挙で4つの全選挙区で自民党が敗北してから政権は力ずくで沖縄を押さえる姿勢を露骨に示してきた。
世論調査の変化
 「辺野古に関わる全国の世論調査」も徐々に変わってきている。
 共同通信(2013年12月)では「辺野古賛成が49.8%、反対33.6%」に対し、(2015年5月調査)では「作業進める」が37.2%」に対し「作業停止」は49.6%となっている。朝日新聞(2015年4月)安倍政権の対応を「評価する」が25%に対し「しない」が55%。政権寄りの読売(2015年4月)は安倍内閣方針を「評価する」が41%に対し「評価しない」が41%となっている。
在京メディアは東京以外に関心は無いのか
 (2014年5月京都府京丹後市に米陸軍Xバンドレーダー基地の建設を始めた。このレーダーは北朝鮮弾道ミサイルに対応配備するもので、関西での米軍基地建設は過去60年近くの間で初めてだ。しかし地権者以外への住民説明会は2回だけだ。
 この報道はテレビでの全国ニュースはほとんどなしで新聞では全国版朝日が過去3年間で12回、読売は4回に過ぎない。今後、本土の沖縄化がますます進行するのではないか。
 沖縄に住む者として忸怩たる思いだ。

トピックス一覧に戻る


【12月市民講演会】― 日本のかたちを変える「TPPの脅威」 ―
             〜国益と国民生活は守られたのか〜

         ―12.13 篠原孝さん(衆議院議員)―

 「大筋合意」と言っているTPPをめぐる交渉内容について政権は何ら報告をせず、またメディアも一切報道をしようとしていない中で、TPPを巡る経緯と今後の見通しについて、篠原孝さん(衆議院議員)が語った。
Photo  篠原さんは民主党議員ながら農水省出身で農林水産業にあかるくOECD参事官として国際情況について詳しく、一貫して「TPPはNO」を訴えている。
 講演では「戦後アメリカの狙いは日本改造(アメリカの隷属化)」でその流れの中で「最後にアメリカの制度を押し付けてきたのがTPPだ」とアメリカは戦略的に推し進めてきていると歴史的な経緯を述べた。
 また安倍政権がTPPに固執しているのは経済成長の「三本目の矢の実績がない」ことに期待感を繋ごうとしているからだ。農産物も畜産、遺伝子組み換えなど影響があるが一番大きいのは医薬品、医療保険制度、さらにISDS条項で主権国と言えなくなる恐れがある。
 これが今後発効したら日本の地域社会の崩壊が始まりとなる。食糧安保はガタガタの不均衡になるだろう。TPPについて批准をしない闘いが必要だと訴えた。(以下講演要旨)

アメリカの狙いは日本改造(隷属化)
Photo  戦後アメリカは日本に軍事力を持たせないために憲法だけでなく軍事産業、飛行機・車などを作らせなかった。80年代には経済が肥大化してきた日本に、日米通商摩擦、スーパー301条、輸出の自主規制を強要してきた。90年代には日米構造協議、保険協議でアメリカ企業の日本への進出を認めさせ、その後は郵政民営化(300兆円)、農協改革(100兆円)を強要し、さらに労働者保護法の改正をもとめてきた。そして21世紀に入りTPPによってアメリカの制度を全面的に押し付けてきた。その見本が米韓によるFTAで今の韓国の姿だ。
 日米安保(安保法制)とTPPは全くの同根と言える。日米安保ではアメリカが日本を懲らしめに来ることはない。しかしTPPは日本の冨をむしり取りに来る。

捻じ曲げられる日本のかたち
 関税ゼロの恐ろしさは1950年代から始まった。その最初は丸太で50年に関税ゼロ。製材もその頃から0〜25%だった、自給率は94%から2000年には18%に下がった。これが限界集落であり、山の荒廃に繋がった。度重なる農産物の自由化で農の荒廃につながっている。90年には日米構造協議後の大店法の廃止でシャッター通り化し街の荒廃が進んだ。そして銀行・保険のアメリカ化で銀行の合併、保険会社の倒産でカタカナ名の会社が跋扈してきた。郵政民営化で300兆円の郵貯・簡保に目を付けたアメリカ金融資本(アフラック)のガン保険が2万の郵便局で取り扱われる。

TPPが発効した場合に予想される悪影響
Photo  農産物関税ゼロは地方創生に逆行し地方の限界市町村化、夕張化、デトロイト化が想定される。食糧自給率の急激な低下、さらに食品安全基準の緩和でBSEの緩和、遺伝子組み換えなどが進む。労働法制の緩和で首切り失業の自由、失業の拡大の恐れ。特許の強化でアメリカの高い薬を使わせる。また医療保険制度が高薬価で崩壊。そしてISDS条項で日本の政策をチッェクする形が想定される。

トピックス一覧に戻る


【3月市民講演会】「2016年はカオスの時代か!」
             〜平和の大切さ、覆る危うさも〜

         ―3.6 早野 透さん(元朝日新聞記者)―

 元朝日新聞政治記者で田中角栄番をしてきたベテラン記者でコラムニストの早野さんは、冒頭、昨今の「田中角栄ブーム」について語った。また、表題の「2016年はカオスか」にあるように国内外ともに「カオス(混乱、混迷)」の様相を表している。
 アメリカは大統領予備選をめぐって社会主義を標榜する候補者やアメリカ一国主義をめざす候補者が現れ11月大統領選まで目が離せない。ヨーロッパ、中東は難民問題を巡り混沌としている。一方、国内は安倍一強で「憲法改定」を公然と訴え、これをダブル選挙で貫こうとする一方、全野党でこれを阻止する動きも生まれ、政治から目を離せなくなってきている。さらにメディアvs権力の図式も先鋭化してきており日本の民主主義のあり方を問う熱い夏になる、と語った。(以下講演要旨)

田中角栄ブームが! ―安倍政権の動きと裏表の関係か―
Photo  田中角栄ブームに火をつけたのは石原慎太郎・元東京都知事だ。「天才」というタイトルで石原氏が田中角栄氏になりきって(俺)で執筆したものだ。早野氏は角栄番の記者としての長いお付き合いからして、この本の内容を指して「非常に薄っぺらな内容」「とても角栄氏のことを語っているとは言えない。如何様だ」と厳しく指弾した。特に70年安保の際の日米間のことや「憲法」観の記載は角栄氏のものとは違う。角栄氏は「100年変えなくてもいい」とすら語っていた、と紹介した。特に今ブームになっているのは安倍政治に対する絡みあいがあるのではないかと述べた。

沖縄訴訟合戦は「和解」 ―国が敗訴リスク回避―
 3月4日沖縄辺野古の埋め立てをめぐる一連の訴訟の「和解勧告」について国側はこれを受け入れた。1月29日福岡高裁那覇支部の「和解勧告」に対し沖縄県側は受け入れるとしたものの、国側は「話し合う余地はない」として強硬姿勢を示していたもので、3月4日「受け入れる」とした。これは国が負ける可能性があるとして「敗訴リスクを回避した」との解説がされた。「和解」とは言うが6月に沖縄県議選、7月の参院戦を意識した国側の政治的計算であることは間違いないわけで、和解における手続きと合わせ本質的な解決に向けた取り組みが必要だ。

安倍、憲法改定の動き顕著 ―野党5党は結束、統一候補も―
Photo  今年に入り安倍首相の憲法改定の発言はテンポアップしてとり、「自分の在任中に成し遂げたい」とまで言い切っている。さらに参議院では発議のために3分の2が必要なので、野党を切り崩すためにダブル選挙まで検討してれいる模様だ。これに対し野党5党は「安倍政権打倒」「安保法制撤回」を目標に掲げ選挙協力をはじめ固く手を携えた取り組みを行うことを合意した。中でも共産党は統一候補のため、参議院32の選挙区で自党候補の立候補を取りやめることも示唆したが画期的なことだ。大きなインパクトになる。

政治とメディアの危うい攻防 ―ジャーナリストが立ち上がる―
Photo  総務相は偏った報道をする放送会社を「放送法」「電波法」により止める場合があるといったため、著名なジャーナリストが抗議に立ち上がった。「表現の自由」「(放送法4条の)政治的に公平とはだれが判断するのか」など論議がわきあがっている。そもそもこれは昨年来、自民党が報道内容に介入したり「自民党に呼び出す」などメディアを通した民衆意識に脅しをかけるもので、絶対に許してはならない。これは参院選と踵を接する形で重大な局面になりうる可能性を持っている。

トピックス一覧に戻る


【5月市民講演会】「メディアは大丈夫か!真実を伝えよ。」
          〜 農的生活と原発避難民として 〜

       ―5.21 秋山豊寛さん(京都造形芸術大学)―

 秋山さんはテレビ業界(TBS)に30年、百姓を15年、福島原発事故で難民となって、現在は京都の大学で教鞭に立っている。また日本で最初の宇宙飛行士としてロシア宇宙船ソユーズで、宇宙に1週間滞在するなど異色のジャーナリストでもある。この日は「自分史を通してのメディアの現状」、「放送法」は何度も改正されて、特に現在の第4条は憲法違反(表現の自由)の疑いがある、と指摘した。また憲法改悪を主張する強権的な安倍政権を参院選を通じて変えることが必要だと訴えた。講演要旨は以下のとおり。

ジャーナリストを「めざす」から、一般の社員に(社員の意識の変化)
Photo  メディア特にテレビが普及し始めたのは高度経済成長がはじまった1960年代後半ころからだ。新聞、出版業が主流の時代からラジオ、テレビの萌芽期に入り、学生の就職も徐々に始まってきた。その頃はジャーナリストをめざしメディア業界で働きたいという目的があり現場ではそういう志向を持った人が多かった。だから当然、ニュースやその原稿一つにしても「何故これが必要か」について憲法論を闘わすほど放送に関わる者としての使命感が強かった。しかし、70年代から80年代に入ってくると事業も急激に拡張し、若い人たちは使命感よりも企業の労働条件や厚生福利の優位性を選択する「会社人間」として就職先を求めるようになってきた。
 メディアの劣化はそこで働く人たちの意識が変わってきたことも大きな影響がある。

「放送法」は何度も改定されてきた。各項はツギハギ。
Photo  「放送法」は1950年に「電波3法」としてスタートした。「放送法、電波法、電波監理委員会」を網羅したものだった。そもそも戦時中の「大本営発表」に象徴されるNHKの「報道管制」を反省し、戦後、民主主義を深めるためにも多くの民間放送事業者を作り育てようとしてきた。しかし放送法とりわけ第4条はツギハギの寄せ集めで論理性がない。
 放送法第4条の1項「公安及び善良な風俗は害しない」は進駐軍の放送コードそのものを使っている。2項の「政治的に公平」は、NHKが政見放送するときの「各候補の扱い方」から引っ張て来た。3項の「事実を曲げないで」、4項「意見が対立した場合」は、「心がけ」として述べているもので、それらを判断できる人、状況はない。しかも過去何回も改定されており、時の政権に忖度した官僚によって手を付けられてきたケースが多い。

Photo 憲法を活かすために。
 昨年は学生や市民をはじめ多くの人たちとデモを行った。昔のやり方とは大分かわってきてて年寄の方が元気があるように思えるが、特に表現の自由、言論集会の自由などは、我々が具体的に行動しなければ維持されないものだ。言葉だけの確認ではなく、行動に移さなければ存在されないものとなる。老若男女、手を取り合ってとは言わないまでも、年寄りは無理して若者を巻き込もうとしないで、年寄り同志が横に広がりをもって活動すればいいのではない。
 当面の参議院選挙では野党が一丸となって取り組むことが必要だ。

トピックス一覧に戻る


【6月 上映会「ザ・思いやり」】

【日時】
 2016年6月18日(土)10時、13時、15時上映開始
【場所】
Photo  金沢市:ITビジネスプラザ武蔵6階
     (名鉄エムザ・武蔵スタジオ通り)
【入場料】
 1000円(学生無料)
【内容】
 1978年から日本政府は在日米軍に対して「思いやり予算」としてなんと6兆円もの税金を提供している。その内実とは・・・・・。
【共催】
 「沖縄と心をつなぐ女たちの会」
 「市民政策研究会くるま座」
 「NPO法人未来塾・大人の学び」

トピックス一覧に戻る


【7月 上映会「不思議なクニの憲法」】

【日時】
 2016年7月3日(日)、4日(月)いずれも10時、14時上映開始。
【場所】
Photo  金沢市:金沢市:近江町交流プラザいちば館
     4階集会室
【入場料】
 1000円(学生500円)
【内容】
 この映画は憲法論議が政治によって進められるのではなく、主権者である私たち国民の間に広がることを願って作られたものです。「立憲主義とは何か」「つくられた背景と歴史を学ぶ」「侵されてはならないもの」など意見よりも日常に根ざした「人びとの声」に耳を傾けています。必見です。
【主催】
 「NPO法人未来塾・大人の学び」

トピックス一覧に戻る


【9月市民講演会】「日米の歪んだ外交の仕組みを紐解く」
       〜 安保、原発、TPP、沖縄基地と日米の実像 〜

    ―9.17 猿田沙世さん(新外交イニシアティブ・事務局長)―

 自ら立ち上げた民間シンクタンクを名付けて「新外交イニシアティブ」。事務局長の弁護士、猿田佐世さん(38)は「新しい外交」を掲げ、新たな道を切り開こうとしている。裏返しとして浮かび上がる日本外交の歪さ、特に日米関係については安保、原発、TPP、基地問題など専門性、閉鎖性の高い分野だけに、「おかしい」「戦後清算ができていない」と言い切る。講演は沖縄・辺野古新基地建設反対を軸に話された。以下講演要旨。

Photo 知日派偏在
 学生時代から国際人権団体に身を置き活動してきた。外交の舞台における日米関係の「いびつさ」を感じたのは2009年、沖縄の基地問題について知ってもらおうと米下院外交委員会のアジア・太平洋小委員会委員長を訪ねた時に、「沖縄の人口は2000人位か?」という質問だった。信じられないほど日本の情報は限られ、偏っている。安全保障など日本の政治に詳しい人物は、ワシントンに30人いるかどうか。主だった人は5人位。私たちの知る日本とワシントンで語られる日本は全く別物だった。冷戦崩壊後、米国における日本への関心低下は著しい。日米同盟の大切さを声高に語る日本側との温度差。一部の「知日派」を頼る日本と彼らが語る言葉が大きくなって帰ってくる。この仕組みを猿田さんは「ワシントン拡声器」と呼ぶ。

Photo 外交の正体
 拡声器の威力を実感する出来事があった。米軍辺野古新基地建設予定地の稲嶺市長の2度目の訪米を猿田さんがアレンジした。市長はワシントンで「移設反対」を表明した。ニューヨークタイムスや、AFPと言った世界的メディアやイランのメディアからも取材を申し込んできた。ワシントン発という強味だった。同じ5月、米国務省の前で多くの報道陣を見かけた。その中心に国会議員がいたが、のちにニュースを見て何があったか分かった。知日派と言われるアーミテージらが「集団的自衛権行使を支持すると語った」と報じられていた。要は知日派と言われる要人に話を聞きに行き、必要とするコメントを引き出し、日本のメディアもそれをわかった上でワシントン発として報ずる。これが日米外交の正体だった。

Photo 直接働きかける外交へ
 基地の危険性を地元市町村に訴える。それは都道府県に届けられ、県から地元の防衛施設庁へ、さらに防衛省に伝えられる。しかし防衛省がアメリカに物申すことはない。ならば直接働きかけよう。沖縄の首長を米国の知日派に直接引き合わせる「新しい外交」を志向するようになった。
 「私たちが目指しているのは米国で影響力のある人物に日本の多様な意見を直接伝えること」そのために、質の高い研究と行動力そして政治を自らの手に取り戻すことが新しい道を切り開くと訴えた。

トピックス一覧に戻る


【11月市民講演会】「イラクから見る日本」
           〜 暴力の連鎖の中で考える平和憲法 〜

 ―11.23 高遠菜穂子さん(イラク支援ボランティア、エイドワーカー)―

 11月23日の市民講演会は、イラクにおける人道支援ボランティアとして活動している高遠菜穂子さんの帰国報告を兼ねて「イラクからみる日本 〜 暴力の連鎖の中で考える平和憲法 〜」と題して開かれた。イラクの現状は対IS掃討作戦として有志連合の空爆など展開されているが、イラク民衆の立場からすると、2,003年のイラク戦争後、「最悪」の状態にあり、多くの避難民が出ていると報告された。また、日本では安保法制反対の活動が行われているが、国際情勢に対しては全く無知で「情報鎖国」と言ってもいい状況だ、と日本のメディアと国民性を厳しく批判した。以下講演要旨。

Photo 金曜デモとスンニ派狩り
 2005年イラク新政府樹立後、特定の宗派や部族を狙った集団殺害が起きた。それは新政府が主導権を握っているシーア派の内務省、警察と治安部隊だ。やられた方はスンニ派の人たちです。名前を聞かれただけで、あるいは身分証明書を見ただけで逮捕され拷問ののち惨殺されることが続き、国連、人権団体からもずーと指弾されている。
 こういったことは日常茶飯事なため2011年頃からは「イラクの春」という無抵抗の金曜デモを開始し「スンニ派狩りに抗議する」「不当逮捕者の釈放」と数万人規模で1年半近く展開されてきた。しかし2013年末になってイラク軍はデモ隊をヘリコプターで攻撃しはじめ多くの死傷者がでたが、これを切っ掛けにさらに激しく毎週無抵抗のデモは続き、とうとう政府軍とスンニ派の内戦状態に発展してしまった。
 このすきに乗じてISがファルージャやラマディを占拠してしまった。
 この段階で国際世論が政府側に強く干渉していれば『最悪』の事態にはならず、またIS もここまで広がらなかったのではないか、と懸念が残る。

Photo IS危機の経緯と現状
 ISはもともとイラク戦争以降対テロ戦争が集中したスンニ派地域アンバール州で組織されたイラク・アルカイダ系だ。
 現在「モスル掃討作戦」が実施されている。約200万人の都市で2014年夏からもう2年半にわたってISの支配下に置かれており、内部の状況は全く把握できていない。電話線、インターネットは遮断され外部との連絡は取れず、ジャーナリストや弁護士はじめ市民はISに処刑される恐怖支配が行われている。そのため、同年9月からアメリカなど63カ国による空爆で打開しようとしているが一進一退だ。
 またこれより先、2014年8月にヤジディ教徒の虐殺という大事件があった。ISがヤジディ教徒にイスラム教に改宗しろと迫り拒否したため殺され、多くの人が逃げ、そのうち近隣の山に逃げた3万人のヤジディ教徒が取り残され、飢餓寸前までいってやっと英国軍などに救出された。

「情報鎖国」の日本と南スーダンへのPKO「派兵」
Photo  ヤジディ教徒の虐殺の情報は欧米や中近東では連日報道され、それが引き金となって米軍は空爆に思い腰を上げたにもかかわらず、日本では全く報道されなかった。むしろ空爆に批判が浴びせられたが、現地では「武力やむなし」の状態にまで追い込まれている。日本では情報が的外れの状態で議論になっている。
 また南スーダンのPKO「派兵」についても現地は大変な状況だが国民には基本情報が抜けたまま話が進んでいる。「自衛隊いかせるな」「自衛隊しか行けないだろう」の極論ではなくて、もっと幅広く国やNGOが行っていることも含めて評価(いい面、悪い面、伸ばす面)と監視が必要ではないか。との提起がされた。

トピックス一覧に戻る


【2月市民講演会】「資本主義の終焉と歴史の危機」
           〜 成長依存から成熟社会へ 〜

        ―2.5 水野和夫さん(法政大学教授)―

 新アメリカ大統領にトランプ氏が就任し、「アメリカ・ファースト」をどういう形で打ち出してくるのか全世界が注目している状況のなかで「資本主義の終焉と歴史の危機」というテーマは、水野和夫さんの豊富な経験と知識、歴史観に基づく内容で最後まで参加者を魅了し続けた。講演要旨は以下のとおり。

「資本主義の終焉」にむけトップを走る日本
Photo  資本主義と言うのは自己増殖によって資本を増やすが、日本は「ゼロ金利」「マイナス金利」によって、政府自ら「資本は増えない」と宣言している。にも関わらず「そうはさせじ」の激しい抵抗が今後いろんな形で現出してくる。世界史的に見れば資本を増やすために@土地(植民地)から資本への蒐集 A陸と海(国と国)の闘い B階級闘争(持てる者vs持たざる者)と数百年間にわたって変遷をたどった。
 特に近年の格差(持てる者と持たざる者)は激しい。NGOウエストファムによると「世界の富裕層8人の資産(48兆円)と下位50%(36億人)の資産が同額」だ。これはここ数年急激で近いうちに8人が1人、さらに0.5人になるだろう。その理由は大企業が政府の規制緩和や国際政策によるもので「縁故資本主義」によるもの。もう一つはバブルや大災害による「ショック・ドクトリン」によるものだ。
 また日本においては企業全体で40兆円の利益を毎年上げ続けているのに、労働者の賃金はこの20年間下がりっぱなしになっている。これは金融ビッグバン(97年)と労働者の働き方を変えたこと(95年)によるものだ。

現代は4回目の歴史の危機
 現代の「歴史の危機」は4回目を迎える。危機は「弾劾」から始まる。1回目はカール大帝の西ローマ帝国(476年から800年)で300年間秩序がなかった。2回目はビザンチン帝国崩壊(1453年)からウエストファリア条約締結(1648年)までの200年間でローマカトリック教会が支配する社会で「秩序はない」社会だった。ルターやコペルニクスがローマ法王を弾劾し逆に裁判にかけられた。16,17世紀の中世の時代は象徴的な「大航海時代」を迎え「より遠く、より早く、より合理的に」の考え方が打ち立てられた。
 3回目はフランス革命(1789年)から普仏戦争(1871年)の100年間だった。身分社会から市民社会をつくる最初の革命だったが、二転三転し混乱した。フランス革命の理念「ヨーロッパから帝国を追放して市民社会をつくる」の完遂は何と第1次世界大戦の末1918年までかかった。そして現代の危機はニクソン大統領のウォーターゲート事件による辞任(1974年)から始まった。日本では田中角栄元総理の裁判からだ。その後東西冷戦の崩壊によるソ連・東欧の解体、混乱。中東における混乱、イラク戦争とISの蜂起のほか経済面でも「ドル紙幣と金の兌換停止」やリーマンショックなど混乱は続いている。トランプ大統領が言う「メキシコとの間に壁を」はグローバリゼーションが終わることを意味している。

「ゼロ金利」は近代の概念からすれば「想定外」
Photo  「第4の危機」はこの先3世代、4世代が時代を経なければ変われないだろう。日本の現状を見ると企業は賃金を下げて利益を上げている。本来なら賃金に還元すべき利益であるにも関わらず経産省はROE(株主資本利益率)を当面8%、目標15%を掲げている。15%にするには利益を40兆円から80兆円にしなければならないことになる。またコンビニなどは既に過剰状態に達している。
 反面働いている人は、賃金は下がりっぱなしで、金融資産を持たない人は30.9%で3世帯に1世帯の実態にある。安倍総理は「企業の利益が上がれば賃金が上がる」と言うがそれはない。言うべきはROEを止めるというべきだ。
 要は利益を生み出し蒐集するところはもう無いと言ってよい。戦争請負の会社や証券市場では高速高回転トレード(ミリ秒単位)で取引を交わし利益を生み出そうとしている。AIに任せて人間は何をしようというのでしょう。「より近く、よりゆっくり、より寛容に」がこれからの時代の選択ではないか。

トピックス一覧に戻る


【5月市民講演会】「尖閣(魚釣島)と領土ナショナリズムの魔力」
              〜 体制翼賛化する報道 〜

        ―5.14 岡田充さん(共同通信客員論説委員)―

 尖閣諸島は領有権を巡ってメディアは加熱報道を繰り返しているが、「報道の事実」はなにか「尖閣を巡る歴史」など本質的な問題について、共同通信の記者として中国、台湾など専門的にかかわってきた岡田充さんから2時間にわたり問題提起がされた。
 領土問題が国益に関るだけに、日中両国の認識はもとより報道各社によっても違うこと。その背景に歴史と政治が絡んでいること等、関係国が真摯に向き合うことの必要性を強調された。以下講演要旨。

報道内容の違い
Photo  昨年6月9日、尖閣で中国のフリゲート艦が接続水域に進入したとして外務省は中国大使をよびだし「懸念」を表明した。ところが産経新聞はこれを「尖閣に中国軍艦」「重大懸念・抗議」としそれも「号外」で発行した。しかし事実はそうではなく誇張・歪曲されている。この水域は「公海」でどの船も航行自由で、かつ同じ時間帯にはロシア軍艦、日本の自衛艦も航行しており中国フリゲート艦だけが特別な行動をしたわけではなかった。
 さらに8月5日同じく産経新聞は「漁船と公船が大挙侵入」「漁船に中国民兵100人超動員」など軍が主導したと報道した。しかしこの事実関係も、中国側報道で8月1日がイシモチ、カワハギの「解禁」で漁船が大量に出漁し、その取締りにあたっていた公船2隻(日本で言う巡視船)と漁船6隻が誤って12カイリ内に入ったものだった。それも日中漁業協定によって「自国漁船は自国が取り締まる」ことに基いて対処されたもので、求めて「侵入」したわけではなかった。しかし外務省は「侵入に抗議」し外相は「状況は著しく悪化」「抗議」をしたとしています。
 つまり事実とは程遠い内容がメディアでは報道され日中対立を煽っている。

「固有の領土」は事実か?
 政府は領土問題について「固有の」と表現するが、史実に基づいていない。「北方領土」と言う言葉は1960年頃使われ始めた。明治8年「樺太・千島交換条約」で日本は一部保有していた樺太の権利全てをロシア側に放棄する代わりに千島諸島の18島を領有した。だけど1945年敗戦とともにポツダム宣言を受諾し日本本土は北海道、本州、四国、九州と連合国が決めた一部諸島になったもので、歴史的にも国際的にも「固有」とは言い切れない。
 尖閣を日本の領有にしようと考えたのは日清戦争(1894年)後です。3島に国標を建てようとするのですが調査すると「清」と書かれたものが見つかり躊躇します。そして戦後は72年まで沖縄と共に米国の施政権下にあった。標杭を立てたのは1969年で「尖閣を領有する。標杭を建てよう」と閣議決定してからなんと74年後のことだった。
 また中国が尖閣の領有権を主張し始めたのは海底に資源があるからだ、との指摘はそうではなく。初めて言い始めたのは台湾です。それまでは尖閣は日本も中国もどこにも視野に入っていなかった。

尖閣は「棚上げ」。1972年首脳会議で。
Photo  1972年9月日中は国交回復し、「尖閣諸島」については田中首相から論議を持ち出した。その際習首相から「言い出したら終わらない。棚上げにしよう」との提案で双方とも同意のうえ「棚上げ」とした。ところが外務省はその事実を一切報道せず、今日まで「中国側と話し合った事実は一切ない」と公表していません。
 しかし2014年12月イギリスの公文書館から、香港返還交渉の前に日本に立ち寄ったサッチャー首相と鈴木善幸首相の会議(82年9月)の際、「事実上棚上げした」との話を聞いた、との記録が残っていることが明らかになったが、日本外務省は否定をしている。
 尖閣諸島問題は菅政権の時、2010年9月中国漁船が巡視船に体当たりした事件で、この漁船の船長を「入管難民法」ではなく「公務執行妨害」で逮捕しました。これに対し中国側は「棚上げ違反」と批判し、その後石原都知事の尖閣購入発言で2012年9月、野田政権が国有化したのです。
 以降中国側は公船接近を常態化させています。つまり中国も実効支配の「実績づくり」をしているのです。中国側は国有化以前は「日本の実効支配」を認めていた。しかしその後9月からは「日中がともに実効支配している現状」だと認識している。そのため3日に一度の割りで接近してきているが「力づくで奪おう」ということではない。

トピックス一覧に戻る


【7月市民講演会】「紛争解決請負人」が見た世界と日本
              〜 9条もアメリカも日本を守れない 〜

       ―7.15 伊勢ア賢治さん(NPO法人日本紛争予防センター、
                     東京外国語大学教授、国連職員)―

 世界の紛争国の仲介・調停人として、国連、日本政府から派遣され武装解除を図ってきた。シエラレオネ、東チィモール、アフガニスタン・・・。「憲法9条」を背中に担いでいるからこそ、武装勢力から信頼され交渉に当たれた。しかし、日本の現実の平和は70年にわたって「孤高の平和」のように見える。あまりにも「国際的な事実」に対し世界と日本のダブル・スタンダードになっていないか。「憲法9条」を護憲派も改憲派も都合よく解釈運用していないか。これでは国際的に通用しない。と述べつつ、「憲法」「自衛隊を海外に派遣した場合の課題」「日米地位協定」の問題について諸矛盾が混乱に拍車をかけていると訴えました。(以下講演要旨)

1. 憲法9条を一度原文で読め。日本の解釈は通用しない。
Photo  5月3日、安倍首相は、「憲法9条の1項、2項をそのままで、3項として自衛隊を明記する」と発言したが、戸惑ったのは国民だけではなく外国特派員もだった。Forceseは戦力、自衛隊はSelf-Defennse Forcesというが、国際的にはどちらも戦力で安倍発言で行くと、9条2項ではForceseは「持たない」が、3項では「持つ」となり論理的にめちゃくちゃだ。
 国連憲章では自衛以外の軍は持つことは許されていない。「武力による威嚇又は武力の行使を認めない」としている。自衛のためだから「自衛隊」との言い方も日本だけの言い方であって、すでに国連憲章第2条(原則)では軍は自衛のためのみと明確になっている。

2.「集団的自衛権」「個別的自衛権」は固有の権利となっている。日本国内の議論は無理がある。
 昨年、集団的自衛権などの法制化をめぐって激しい論議があったが、「集団的自衛権」そのものは国際的に認められているもので自衛権として「固有の権利」です。ところが議論の中身は「軍事同盟」の話で、かつ「憲法9条」に絡む「必要最小限の戦力」という日本独特のとらえ方が混乱に拍車をかけている。
 PKOの駆けつけ警護については明確に「国連的措置」であって、国連全体が関わることであって、近隣にいるNPO部隊が駆けつけることはありえない。一連の議論は「9条の無力化」を目的にしたのではなかったか。

3.「開戦法規」と「交戦法規」という戦争ルールを犯せば戦争犯罪に。「国際人道法」という新しい概念が。
Photo  昔は宣戦布告すれば戦争は可能だったが、今はどういう口実でやるかが必要で戦争を始められる理由は「自衛権」と「国連的措置」のみだ。「交戦法規」はこんな武器は駄目だ、こんな殺し方は駄目だ、と規定したもので、対人地雷、クラスター爆弾が使用不可になりましたが、最近はドローン、ロボットが人を殺傷していいのかが焦点になっている。
 国際人道法は国連PKOを派遣していた時に発生した事件をもとに、1999年に新しく発布されたものだ。それまではPKO部隊が停戦後の調停、仲裁のみで、当事者でないため紛争が発生した時に対応できなかった。このためルワンダでは数十万人の国民が虐殺され、国連のトラウマだった。

4.60有余年変わらない「日米地位協定」。他の国では?
 地位協定とはある国家が戦力を異国に駐留させるとき、その戦力が異国の法律から訴追免除されることを言う。普通は「公務内」か「公務外」かによって自国が裁くか異国が裁くかとしているが、日米の場合は米軍側が「公務内」か「公務外」かを決めることになっているため、常に混乱している。
 米軍が世界で結んでいる「地位協定」は115以上にもおよんでいるが、対日本ほど従属的なものはない。イラクとのそれには「イラクに駐留する米軍基地から隣国を攻撃しない」とあり、フィリピンとのそれは「核を持ち込まない」と明記されている。

トピックス一覧に戻る


【10月市民講演会】普通の人々が豊かになる景気拡大政策を
                 〜 安倍政権に打ち勝つために 〜

      ―10.8 松尾 匡さん(立命館大学経済学部教授)―

 安倍政権が9月末「解散」を打ち出した直後の10月8日、「安倍政権に打ち勝つために」と題した市民講演会を開いた。冒頭、松尾匡(ただす)さんは「安倍さんの経済政策は野望(憲法改正)を実現するための手段だ」と言い切り、現在の経済状況を細かく調査分析し、若い人たちの高い安倍政権への支持率がどのようにリンクしているのか、を紐解いた。その上で普通の人々が今後どんな経済政策を掲げるべきかを述べた。専門性の高い内容だったが、先行きの展望と課題、その解決策についても触れられ、参加者からも鋭い質問・意見が出され内容の濃い市民講演会となった。(以下、講演要旨)

若い人たちの高い自民党支持率
Photo  安倍政権の進めようとする個別テーマへのメディア各社の調査は、例えば「憲法改正」「テロ等準備法」等について、「支持する」よりも「支持しない」方が多い。にも拘らず内閣支持率は過半数を超えるくらいに高い。
 投票の際の最も重視した政策は何か、の設問に対して「景気・雇用」が一番になっている。特に若い人の傾向が著しくて、18歳以上の人の「どこに投票したか」については4割が自民党と答えている。この人たちの重視した項目は「景気・雇用」が30%でダントツだ。アベノミクスの評価についても53%が評価している。つまり、若い人ほど安倍政権の経済政策に対する期待が高い。
 民主党政権時代と安倍政権時代の経済指標の比較は、総じて横ばいないしは多少改善している。しかし、雇用や非正規の賃金などは改善してきており、若者や雇用が不安定な人にとっては恩恵を感じていると言える。
 総じて20年におよぶ長期不況と小泉「構造不況」によって多くの人々が苦しんできて、民主党はこれへの批判を背に政権交代したが事態を改善できなかった。安倍政権はわずかに事態を改善させている。その状況に若い人や苦しんできた人は「戻したくない」との認識にあると思われる。

選挙で圧勝する手段が「景気拡大」。脱成長イメージで中道左派、リベラル没落。
 景気の動きは財政支出によって変わる。安倍政権はそれらの要諦をうまくつかって公共事業を増やしたり引き締めたりしている。その結果8%消費税増税の際は消費が減った分を民間住宅投資が補う」形になっていてバランスがとれている。結果、大企業は史上空前の巨大な利益を上げ、一般庶民はスズメの涙のような恩恵にあずかっているだけだ。
 「もっとしっかりした景気対策が必要だ」と野党は批判するどころか、むしろ逆に「脱成長」と言ったスローガンや、「景気拡大に反対なのでは?」と思わせた結果が、一連の2014年の総選挙、2016年の参院選、東京知事選などに表れてきている。本当は沢山の人たちが経済的に苦しいからこそ安倍政権にすがりついているのに、野党にはそのことが見えていない状態だった。
 「反緊縮」に対する声なき声は日本だけではなく世界中で起きていた。過去、英・サッチャー、小泉、米・ブッシュが行ってきた新自由主義による「緊縮政策」によって格差や貧困が広がり若者が職にもつけなかった。

「反緊縮」の欧米勢力よる巨額の財政支出と景気拡大
Photo  金融緩和なんてなにやら「アベノミクス」みたいで戸惑われたかもしれない。それに反対するのが左派の役目じゃないかと思われるかも知れないが、世界全体ではそんなことはない。欧米では左派ほど金融緩和を志向するのが常識で、いずれも金融緩和で雇用を増やすことを求めている。
 象徴的な英労働党主・コービンさんは泡沫候補と目されていたが、福祉、医療、教育のほか住宅やインフラ投資を「人民のための量的緩和」をスローガンに圧勝した。中でも18歳19歳の若い人の3分の2が労働党に投票した。
 米・サンダースさんの目玉公約は5年間で1兆ドルの公共投資を行って雇用を拡大する、と言うもので、カナダでもフランスでもスペインでも、緊縮の総本山ドイツでも連立を組んでいる社民党が「反緊縮」の発言をしだした。
 彼らの主張は@財政危機発言は新自由主義のプロパガンダだ、Aその逆が必要で、民衆や公共事業に直接使うべきだ、Bそれが雇用を拡大させる、などと訴えている。

政府債務問題にだまされず、庶民の暮らしのために大胆な支出を
 欧米のリベラル派や左翼の常識からすると「財政再建」は気にするなと言っている。そもそも財政収支の均衡と言うのはそれ自体が目的ではなく、支出が膨らんでインフレが悪化しないよう管理するための手段である。日本には「1000兆円の借金」があると言うが、その多くは日銀が持っていて、インフレが起きてこれを抑えねばならないときは国債を売って民間の資金を吸収すればいい。

          ・       ・         ・

 質疑・応答では、景気および今後の経済動向について種々論議が交わされ、現在の経済政策では問題点が多い、年金生活者に対する「物価スライド」の仕組み、べーシック・インカムの導入検討、2020年オリンピック後の経済動向は大きな変化をもたらす、10%増税より5%へ、将来の高福祉社会への転換…など活発な論議があった。

トピックス一覧に戻る


【1月市民講演会】安倍/自民党「一強」を考える
      − どうすれば民意を反映する正統政治をとりもどせるか −

 ―1.27 中北 浩爾(こうじ)さん(一橋大学大学院社会学研究科教授)―

1980年代―政権交代はなかったが権力は分散していた
Photo  自民党は昨年秋の総選挙で圧勝した。政権を奪還した2012年以来、国政選挙で実に5連勝である。通常ならば「2012年体制」の成立などと言う声が聞こえてきてもおかしくないが、依然として耳にするのは、自民党「1強」と言う言葉である。つまり単なる強さを超えて、民主主義の観点から現状を正統化しようという動きは現れていない。そもそも現在の自民党には、外交や経済など個別の政策領域のブレーンしか見当たらない。
 かっては違った。大平正芳首相などのブレーンを務めた香山健一や佐藤誠三郎らは1980年代、こう主張した。確かに、自民党長期政権ゆえに政権交代は存在しない。しかし、分権的な党組織のもと、族議員などが媒介して、多様な民意が包摂されている。したがって、自民党政権が民主主義として劣っているという批判は正しくないと、と。86年の衆参ダブル選挙で大勝した中曽根康弘首相は、この日本型多元主義に基づき、自民党が左にウィングを伸ばし、「1986年体制」が始まったと宣言した。

1994年、政治改革モデルに
 以上のような自民党長期政権肯定論を否定して、新たな民主主議をめざしたのが、94年の政治改革であった。それがモデルとしたイギリスの政治は、政権交代と権力集中を特徴とする。2大政党が政権をめぐって競争し、勝った方の党首が首相に就き、トップダウンで選挙公約を実現する。自民党から民主党への2009年の本格的な政権交代は、一連の政治改革の最大の成果であった。
 ところが、民主党政権は国民の期待に応えられないまま、空中分解してします。その結果が、12年以来、今日まで続く自民党「一強」である。野党が分裂し、無党派層の期待も集められないため、政権交代がおきない。それにもかかわらず、内閣人事局の設置に至る政治改革で、首相のトップダウンによる政策決定が可能になっている。

「競争」も「参加」も減退し、自民党「一強」は単なる統治に
Photo  この間、自民党の支持基盤は相対的な優位を維持しながらも縮小し、多様な民意を包摂する能力を減退させた。小選挙区制の導入や新自由主義改革などを背景に族議員は影響力を弱め、それに結びつく業界団体も衰退した。国会議員の個人後援会の弱体化も著しい。こうしたなかで、1990年代初頭に500万人を上回った自民党の党員は現在、5分の1の100万人強に減り、国政選挙の投票率も80年代に比べて20ポイント程度低下し、50%台前半を推移している。政権交代と言う政党間の「競争」もなければ、多様な民意を包摂するという「参加」の契機も乏しくなっている。つまり、現在の自民党「一強」を民主主義の論理から正統化するのは難しい。正統化できるとすれば、安定した政権運営が高いパフォーマンスを生み出しているという統治の論理しかない。安倍晋三首相が事あるごとに実績を誇り、民主党政権よりもマシと発言するのは、それゆえである。

民主主義を取り戻すために野党は再結集を
 低迷を続ける野党にとってのチャンスは、ここに存在する。ポスト自民党「1強」とは、政権交代の可能性を取り戻す一方で、行き過ぎた権力集中を是正し、多様な民意を包摂するような民主主義でなければならない。先の総選挙で「草の根からの民主主義」を訴える立憲民主党が躍進したことは、それを示している。首相の解散権の制限、市民の政治参加を妨げる現行の公職選挙法や政治資金規正法の改正、小選挙区制などを掲げて、野党は再結集を図ってはどうか。

トピックス一覧に戻る